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最終章白の治癒師
17お見通し
しおりを挟む一瞬の出来事で訳が解らなかった。
先程まで動く事も出来ず病み上がりの国王が動けるはずもなかった。
「殺すな!この男を生かして捕らえよ!」
「なっ…何故」
立つ事もままならないと思えた国王は短剣でアークの急所を外し刺した後に拘束した。
「動けないはずだ…なのに何故!」
「愚か者めが、事前に準備をしておいたのだ」
メアリに視線を向けると、国王の顔色は変わる。
「なっ…」
「病み上がりであるが剣ぐらい使える程度に回復している。だが、あえて病弱な振りをした方が鼠を捕らえるのが確実だ」
「そんな馬鹿な!」
全ては筒抜けだった。
「残念だったな、クソガキ」
「なっ…魔術師達!」
複数の黒装束に身を包む団体が拘束されていた。
「出入り口の方には黒幕が拷問されてんじゃねぇのか?あの病んだ皇子様がなぁ?」
「馬鹿な!」
「馬鹿はお前だ。何でこの場に父親のティエルドがいないか解らないのかよ」
「まさか…」
本来ならば誰よりもこの場にいるべき人物がいるのにいないことに気づいた。
「早々に、黒幕の存在に気づいてたんだよ。だから逃げ場を塞いだんだ…ついでにお前が監禁した近衛騎士だがな?最初からわざとだ」
「なっ!」
「普通に考えてないだろ?お前如きに襲われる程近衛騎士は甘くねぇんだよ…ただスキルに頼っていた坊ちゃんと違ってな」
「違う俺は…メアリ!俺は君とやり直そうと思ったんだ!」
床に抑え込まれるアークはこの期に及んで誤魔化そうとする。
「俺は帝国で君とやり直そうとしただけだ!こんな小さな国で終わるのではなく…」
「だから王太子殿下の婚約式をぶち壊してクーデターを企てたか。残念だがラセンドル帝国はもう終わりだ」
「は?」
ユリウスが新聞を叩きつける。
「ラセンドル帝国革命?何だこれは」
「知らなかったのか?あの帝国は民を長きにわたり虐げ過ぎた。国庫も赤字だ…貧しさ故に帝国民は革命を起こしたんだよ…公には隠していたそうだが」
「そんな嘘だ!じゃあ何で…」
「だからだろう?白の魔導士の存在を利用したかったのだろう。お前は後から始末すればいいからな」
必要なのはメアリだけで、アークは利用できるから利用しただけだった。
「第一、本当にお前の土の魔力なんて使い物になるか。帝国が欲しいのは水魔法の使い手だけだ」
「うっ…うわぁぁぁぁ!」
耐え切れず絶叫する後に、アークは騎士団に連行されて行った。
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