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最終章白の治癒師
16敵国の手口
しおりを挟む「貴方はただの捨て駒よ」
メアリは厳しい表情ではっきりと告げる。
「馬鹿な…俺は!」
「逆にどうして、解らないの?万一陛下を敵国に売り、祖国が従国になったとして…貴女はラセンドル側からすれば裏切者ですかないわ」
「何を言っている!そんな…」
「馬鹿だろ?お前は馬鹿皇子に上手い様に利用されただけだ」
離れた位置でユリウスがラセンドル帝国の内情を告げた。
「大方、第三皇子あたりに言われたんだろ?クーデターをお越し成功すれば帝国に迎えてやる。教皇猊下となったメアリがいればそれ相応の地位を約束してやると」
「おいおい、ラセンドルの馬鹿皇子の手口だぞ?そうやって過去に何度も詐欺紛いな契約をして、目的が果たされたらポイ捨てしてたんだぞ」
ハインツが呆れたように告げた。
上手い話を持ち掛けて、目的が果たされれば用なしとして扱う手口はよくある事だった。
「特にそのあくどい手法を使うのが第三皇子派だからな。あの馬鹿な小僧は頭が悪いからな…大方メアリ嬢ちゃんの地位を利用しようと思ったんだろが…第三皇子は皇帝になれねぇんだよ。どうあがいてもな」
「そんなはずはない…ニルキナ殿下は!」
「例え皇太子殿下と第二皇子が不幸で亡くなったとしても、あの坊主は継承権がない…」
「継承権がない?」
「おい、まさか知らないわけじゃないだろうな」
ラセンドル帝国には帝位を受け継ぐには条件がある。
他の国でも常識となっているが、王族が継承権を得る場合は。
正妃だけだった。
例外はあれど、血筋がまだまだ優先される時代だった。
「例え、あの坊主が皇帝になったとしても祖国を簡単に売るような男を傍に置くかよ。何時、反旗を翻すか解らねぇだろ」
「それ以前に、皇子でしかない彼にそんな権利はありませんわよ」
「普通に考えれば解るはずだ。何処までも愚か何だ」
アークは利用されて捨てられるだけだった。
よく考えれば解るはずだ。
「万一私が敵国に捕虜として連れていかれたとしても、私が従うはずがないでしょうに」
「メアリ!お前は自分の価値を理解していないんだ…白のグリモワールを使えば国盗りなんて簡単にできる。俺の土魔法とお前の水魔法を使えば帝国に潤いを与え他国を葬る事も簡単だ」
「何処までも馬鹿な男だ。メアリが拒絶すればグリモワールは力を発動しない。そして教皇の力は私利私欲の為に力は発動しない」
「嘘だ…そんなはずはない!」
全ての計画はあまりにもお粗末だった。
絶望したアークは油断した瞬間だった。
「愚か者が!」
「なっ!」
人質になっていたはずの国王が短剣を抜きアークを刺したのだった。
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