白のグリモワールの後継者～婚約者と親友が恋仲になりましたので身を引きます。今さら復縁を望まれても困ります！

最終章白の治癒師

5裁判の調整

二人の同意の元で婚約は滞りなく行われたがその裏で問題は解決していなかった。



「由々しき事態ですわ」

「何だ？またメアリが何かしたのか」

「まぁ、メアリ様が何かしても問題なくてよ」

「そうかよ」


聞くだけ無駄だったと思ったユリウスだが、一応聞くことにした。


「問題なのは、メアリ様ではなくあの馬鹿の親達ですわ」

「裁判を行う事になったのですが、話し合いに応じないのですわ。弁護士も困り果てていますの」


「どっちも責任の擦り付け合いと？」

「ええ」


子が子なら親もだと嘆くリーシア。

「別にこのまま裁判に応じないなら強制的手段に出る事が出来ますが…メアリ様を出せと訴えて来てますのよ？なんて身の程知らずなのでしょう…挙句の果てにモリガン領地とカートン領地に民を飢え時にさせる気だと馬鹿な事を言っていますの」

「既に領民は移民しているんだがな…馬鹿だろ」

「まだ全員と言うわけではありませんが…領地に民は誰一人いなくなるのも時間の問題ですわ」



借金まみれの両家は、このままでは破産する。
財産を奪われ領地も殆ど奪われてしまい娘は寝たきりという状況だった。


メアリに支援を遠回しに頼んで来たがティエルドが許すはずもなかった。
対するカートン家はメアリとの婚約解消を渋っている状態だったので、アークを見つけ次第復縁を望んでいるのだが。


「国の法律を理解していないのかしら」

「法律なんてあってないようなものだと思っている馬鹿が多いんだよ」


ユリウスの言葉はある意味正論だった。
一度婚約解消した相手と復縁する事は許されないが、相手の身分が低かった場合は可能だった。


しかし法律では禁じられているのだが。


「メアリ様の気持ち次第でどうにかできるとお思いですわね」

「後は教皇が望めば…なんて馬鹿だろ。第一、真面な神経の持ち主なら浮気して自分を殺そうとした男と復縁を望むわけないだろ」

「ええ…本当に腐った連中ですわ」


裁判は調整に入っているが、これ以上酷いようならば、強制的に裁く方法がある。

ただしあまりしたくないやり方なのだが。


「未だにあの男の行方はつかめていないようで」

「少し妙だな。ここまで上手く身を隠せるなんて」


王都から逃げることができても、ここまで長い間雲隠れするのは困難なのにおかしいと思ったいた。