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最終章白の治癒師
3治癒師の伴侶
しおりを挟む今から三か月前。
国民の前にお披露目が行われるために、レッスンの日々に明け暮れる中。
ミカエルはパートナー役を務めていた。
事前に王代行に命じられていたからだった。
王代行を務めるリーシアの父は、ミカエルの父が再び玉座に立つ事を願い。
今日まで後見人を務めていた。
公には病で倒れた事になっていたが、呪いにより眠りついていたのだが。
メアリが教皇となった事により呪いは解け目覚めることができた。
そうなれば王代行を行っていたリーシアの父も立場が変わって来るのだが、欲のないリーシアの父は兄が目覚める日を待ち望み、中繋ぎという約束でしばらく代行をする事を約束した。
まだ若すぎるミカエルには後ろ盾が必要だった。
先王も病み上がりで復帰できない今は、仕方ないのだが。
そこで王代行としてミカエルに命じたのはメアリのパートナーを決める事だった。
「ミカエルよ。歴代の国の守りてである治癒師の婚約の決め方は知っているな」
「はい、我が国の開国時より強い力を持つ治癒師は真の伴侶を得て力を得ると」
「そうだ。メアリ殿の母君もティエルドがそのお相手だった。メアリ殿も例外ではない」
「はい…」
ミカエルは唇を噛みしめる。
(メアリ…)
既に教皇として才が開花している今、急いでその相手と婚姻させる必要がある。
メアリを守る為にも、国の存続の為にも。
「このような乱暴な言い方はしたくないが…メアリ殿を奪いあわよくば子を身ごもらせて我が者にという馬鹿が現れた」
「は?」
「このような屈辱は許せん。教皇猊下に対する無礼だ」
「なんて事を」
メアリを道具にしか思っていない事が許せない。
「最低ですわね。メアリ様は白の大魔導師様ですわよ?運命のお相手以外に子ができましょうか…無理ですわ」
「娘よ、頼むからもう少しオブラートに包んでくれ」
「事実ではありませんか。殿下以外にメアリ様は子ができませんわ」
「は?」
ミカエルは固まった。
「リーシャよ。だからお前は!」
「この鈍い王子に早く事実をお教えくださいな。メアリ様の運命のお相手はミカエル様ですのよ?我が国の四大治癒師の血筋を持つ者は真の伴侶となる方とは子ができないのです」
「いやいや、初耳だぞ!」
「まぁ、公にされてませんもの。私もこっそり調べましたのよ」
「娘よ…」
嘆き悲しむリーシアの父。
行動的過ぎる娘が何時かとんどもない事をしでかすのではないか、不安でならない。
「殿下とメアリ様は夫婦になればずっとお傍でお仕えできますわ。それにメアリ様のお子でしたらさぞ可愛いでしょうね!頑張ってください」
「だからそうじゃなくて」
「あら?嫌ですの」
「そんなはずないだろ!」
ポロッと本音が出るミカエル。
リーシアの策士にまんまとハマってしまった。
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