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最終章白の治癒師
2新聞
しおりを挟むお披露目が終わり、国民にも歓迎された事でメアリの注目度は上がった。
以前から国民から愛される治癒師だったメアリは戦場で敵味方関係なく治療を行い、多くの騎士の命を救った。
戦死した者には祈り、その姿は天使のようだと敵側からも賛美されたほどだ。
その為、国内でメアリの継承を良く思わない者がいても、他国から支持されてるならば公の場で反対できないのだ。
むしろそんな真似をすれば自分の首を絞める行為となる。
現在も貴族派や宗教を拒否する貴族達からは良く思われていないのだが、国民はメアリを支持している。
国の九割は国民であり、近衛騎士を覗く地方に派遣されている騎士も平民だったので彼等が反旗を翻してもどうなるか明白だった。
数日前に反旗を翻し、無謀にもメアリを誘拐し凶悪しようとした無謀な連中がいたが。
数時間で拘束され、罪人として捕らえられた。
その輩は――。
「新聞に載っているな、あの馬鹿がデカデカと」
「王都新聞も随分と大きく取り上げたな」
新聞に載っているのは以前にメアリ誘拐事件を実行した男だった。
「あの男も馬鹿な真似を…大人しく逃亡していた方がマシだったな」
「アーク・カートン。本当に下衆だったな」
「最後に排除したい国ごと排除できたから良かったが。リーシャがヤバかったな」
メアリが聞こえないように先日の事件の事を話す。
「本当に馬鹿だな。これでカートン家は終わりだ」
「当然だろう?クーデターを起こそうとしたんだが…まぁ未遂に終わり、邪魔な連中も一気に排除できたんだが」
「これでも煩い奴等と貴族派の残党は制圧で来た。ついでに他国に助けを借りる事も出来ない」
クーデター未遂事件により、反旗を翻そうとしていた者達。
王族を乗っ取ろうと企てる者もまだ残っていたがその力を全て根こそぎ奪い、尚且つ他国に脅しをかけるのが成功した。
「つーかメアリは気づいてないだろ」
「ああ、本人はそんな大それたことをしていない」
「本当にどうすんだよアイツ。自覚ないのも限度があるだろ」
国民のお披露目前に大事件を起こしたが未然に防いだだけでなく国民の命を守るという大義を成したのだ。
「あの事件があったからこそ、今の評価があるんだがな」
「ああ」
二人はあの事件を振り返りながら遠い目をした。
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