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最終章白の治癒師

1お披露目

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大勢の前で教皇猊下としてのお披露目も無事に行う事ができた。



「教皇様!」

「教皇様万歳!」



広間ではパレードが行われ、噴水からはワインが吹き出す。
その日は屋台で沢山の食べ物が用意され、すべて無料で食べ放題だった。


今日の日を祝う為の細やかな心配りだったのだが。



「動きにくい、コルセットが…死にます」

「おい、耐えろ。ここで吐くなよ」

「うう…」


必死で笑顔を浮かべているが内心ではコルセットの締め付けての戦いだった。
締め付けが酷く、苦しくて我慢できなかった。


「おい、顔がまずいぞ」

「ユリウス様、私はもう限界です」

「おい…」

「せめて今すぐ朝食の物を出していいですか?」


国民の前を馬車で通り手を振りながらも有るまじき行為をしようとするメアリ。
同じ馬車に乗っているミカエルも袋を用意していた。


「そこで袋を用意するな」

「しかし、すごいことになるだろ」

「国民の前でゲロを見せる気か」



気合で耐えた後に馬車は王宮に到着した。



「死ぬかと思った…」

「だらしないぞ」

「何でこんなキツイコルセットを」


教皇として公の場に出る時は特別なコルセットを身につけなくてはならないが神殿や王宮の出入りでは基本人目につかないように移動するのでここまでキツイコルセットをつける事はないが、今日は正式なお披露目だったからだ。



「メアリはやっぱりドレスよりも普段の動きやすい恰好の方が似合っているな」

「おいミカエル、甘やかしてどうするんだ」


「メアリ、疲れただろう?沢山のジャムを用意したんだ。君の大好物のコッペパンも用意させた」

「だから…」


仕事がひと段落さえすればミカエルはメアリに甘やかし放題だった。



「おい、ミカエル」

「食べ過ぎなければいいよ」

「いただきます!」


メアリは大喜びでコッペパンを食べる。
教皇になって、立ち振る舞いも美しくなり、形になっていてもメアリの中身は変わらずだった。


「いいのか、これで」

「いいんじゃないか」


「良くねぇだろ。お前は本当に馬鹿か?来月は大事な…」

「まぁ、大丈夫だろ」


吞気すぎるミカエルに呆れながらも固める場所はちゃんとしているので強くは言えなかった。




「それよりお前、何で太らないんだ。コッペパンばっか食べてるのに」

「やっぱり規則正しい生活ですかね?宮廷貴族の生活は体に悪いですからね」

「普通貴族は移動の際は馬車なんだよ。お前みたいに歩いて移動か竜騎で移動なんてしないんだよ」

「体に良いのに」


教皇に就任しても公の場以外では生活スタイルは健在だった。

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