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第三章真実の聖女

27.裁き

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逆ギレをしたユーフィリアはメアリに魔法をぶつけようとしたが。


パリーン!


「なっ…何で!」

「杖が!」


ユーフィリアの杖が砕けてしまった。


「どうして…何でよ!」


魔術師にとって杖は大事な物だった。
杖を使って魔法を放つ魔術師にとっては無くてはならない代物だった。


「当然ですわ」

「サリアン様?」

「貴方は今何をしようとしたか理解していないのかしら?全知全能な精霊は猊下に危害を加える悪しき存在に力を貸すはずがありません。貴女は精霊にも見放されたのです」

「そんな…」

「魔女よりも恐ろしい女…偉大なる白の大魔導師様に手をかけようとした事は最も重い重罪です。貴女の職業を剥奪します!」

サリアンが声高らかに告げると、魔術師の命と言われる魔石までも砕けてしまう。


「私の魔石が!」

「既に落ちた魔術師である貴女に不要ですわ。それとも彼女を弁護いたしますか?宮廷師団の皆さん」


視線を変えた先には宮廷師団の代表たちが厳しい表情をしている。

「皆様!」


ユーフィリアは涙目で訴えるような表情をするも。


「どうぞご随意に」

「なっ!」

助けてくれると思ったのに誰も助けてくれなかった。


「何故です!」

「私からしても何故と問いたいね」


幼い頃に魔力に目覚めて、優秀だと自負していたユーフィリアは信じられなかった。
自分を手放す等ありえないと思っていたのだろう。


だが、宮廷師団はユーフィリアを特別視していなかった。
優秀な魔術師はいるのだ。

ただ火の魔力を持つ者は数が少なく希少価値はあるのだが、既に精霊の加護を失っているのであれば必要なかった。


何より魔術師の母でもある白の大魔導師を殺そうとした人間を置いておくなど論外だった。


「宮廷師団の代表として申し上げます。彼女は人としても魔術師としても失格です。魔力は強くとも私欲の為に使い戦場から逃げ出す等論外です」

「同じく、騎士団の人間として私も賛同いたします。例え魔力が低くとも責任を持てない者を仲間と思えません」

「仲間を売って己の保身を優先するなど…」

誰もユーフィリアの味方をしなかった。


「そんな…」


「ユーフィリア・モーガン。貴女に魔術師の資格はなくてよ?数多の罪はその身を持って償いなさい」


大勢の場で断罪され。ユーフィリアはその場に崩れた。


「アーク…」

縋るようにアークを見るも。


視線を逸らされる。


(どうして…何でよ!)


しゃがみ込みながらユーフィリアの怒りは膨れがあるばかりだった。
計画通りに事が進んでいたはずなのに。


その計画は最悪な形で崩れてしまった。

しかしまだ序の口だった。


「ユーフィリア!」

「お父様!」

その場で悲鳴を上げたのはユーフィリアの父親だった。


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