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第三章真実の聖女

24怒りの雷撃

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王女として感情を表に出す事は褒められたものではないが、この場で責める人間はいない。
むしろそんな人間がいれば糾弾されてもおかしくない。


「泣かないでくださいリーシャ様」

「ですが…」

「大丈夫ですから」


メアリは思った以上に冷静だった。
二人の態度は許しがたいと思ったが、代わりに怒ってくれる人がいた。

何より怒りよりも落胆が強かった。


「神聖なる学園の場を汚し、罪状は十分にあります。そして城下町で民に迷惑をかけた行為に関しては許される事ではありません。生徒監督責任の監督生代表の皆様」


「無論、許される行為ではありません。聖女を名乗る事は教皇猊下を侮辱する行為、そして宮廷師団に泥を塗り、身分を傘にかけて暴行を行ったのでギルド長より訴えるとの言葉もあります」

「しかるべき罪を…この場に置いて」

メアリは冷静な口調で告げるも、顔も出さない女が指図をするのが許せなかった。

「何を偉そうに…」

「貴様何者だ!何の権利があって!」

アークが、身を乗り出し胸倉を掴もうとするも。



「ぎゃあああ!」


天上から雷が落ちた。


この大聖堂は魔力が使う事ができない特別な結界が敷かれている。


「何で魔法が…」

「女神の怒り、もしくは先代の怒りでしょう。罪人が何時までも罪を認めずまた一つ罪を重ねようとしているから」

「さっきから偉そうに!顔を見せなさいよ」


「解りました」


ローブを脱ぐとそこには。


「え…メアリ?」

「ごきげんよう」


静かに笑みを浮かべるメアリだったが、髪の色が異なっている。
しかもローブを脱ぐと白い法衣に身に着けていた。


「何でアンタがその恰好を!」


神話時代から存在する銀刺繍がされた特別な法衣。
金と銀の刺繍をあしらわれたローブに中は星が散りばめられたワンピースを着ている。

そして右手には杖を持っていたが、その杖は。


「何で黄金の杖を!アンタなんかが持っていいものじゃないわ!」

手を伸ばし奪おうとするも。


「きゃあああ!」

一歩前に出ると電撃が遅い、電撃と共に疾風がユーフィリアを襲った。


「痛い…痛い!」


「これは私の物です。女神様にお返しいただきました」

杖が意思を持つようにユーフィリアに先端が向く。


「何を言ってるの!そんな訳が!」


ダメージを与えられても動けるユーフィリアは立ち上がろうとすると目の前に四冊のグリモワールが共鳴してメアリを守るように囲んでいた。


「何故グリモワールが」

「彼等は私を守ってくれているから」


白のグリモワールを中心に他の三冊のグリモワールが共鳴しメアリを害する物を拒絶するかのようだった。
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