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第三章真実の聖女
23王女の怒り
しおりを挟むずっと一人だった。
王の弟だった父が王代行をする事になりリーシアは王女になった。
「リーシア、お前は王女なんだ。もっと」
「私は王女になりたくなかったわ!国の人形じゃない!」
誇り高いリーシアは王室の椅子に座り人形のように扱われるのではなく国の為に戦うべく幼少の頃から魔法と剣術を磨いて来た。
王族でも王女でなければ可能だったが、先王が病に倒れた事で父親が代行する事でリーシアの自由は奪われ、夢も奪われ魔法騎士になる夢も断たされた。
そんなリーシアの心の支えは子供の頃から憧れていた白の大魔導師の存在だった。
亡き母が良く教えてくれた。
「リーシャ、猊下が私達の代で地上に現れた時はお仕えするのです。教皇猊下は女性でありながら聖職者のトップとして奔走され、力ではなく心で絆を結んだ方です」
「はい」
「猊下に仕える事、そしてお心に寄り添うのが我が家の勤め…慈悲の心で弱き者を守られた聖女様を悪しき者に利用させてはなりません」
いずれ出会うかもしれない。
もしかしたら出会う事はないかもしれないと思ったが。
母は仕えることなくこの世を去った。
その後、権力を欲した浅ましい貴族令嬢達がウジ虫のように寄って来た。
そんな中リーシアは傷ついて来た。
一人ぼっちのリーシアの逃げ道は歴代の教皇猊下が飾られている大聖堂だった。
その一番奥に初代教皇。
白の大魔導師の像が飾られていた。
「猊下…早くお会いしたいです」
白の大魔導師に仕える事を夢見て来た。
その願いが心の支えになっていたがその兆しがない中で出会ったのは呪いに苦しむ親友を救ってくれた少女だった。
真の治癒師は強い慈悲を持つと言われていた。
見ず知らずの人間に馬車を止め、治療を行ってくれる人間が何処にいるだろうか。
呪いの末期症状だったギーゼラを治癒する事は治療する側もリスクがあったがメアリは痛みを受けても救おうとした。
そしてその後白のグリモワールが反応し、メアリを選んだ。
最初は子供の頃の夢がかなったと言う喜びもあったが、メアリ自身が好きになった。
親しい友達はギーゼラぐらいしかいなかった。
だから同年代の友人と過ごす普通がリーシアには嬉しかった。
「絶対許せない…メアリ様はずっと庇っていたのよ。いいえ、円満な解決をしようとしたのに」
「姫様…」
「それを!」
リーシアがずっと欲しかったもの簡単に手放し踏みつけた行為が憎かった。
貴族や王族は真の絆を得ることが本当に難しいからだ。
そして今もメアリを責め罪を着せようとする行為がどうしても許せなかった。
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