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第三章真実の聖女
22許されない行為
しおりを挟む人としての道を踏み外し、殺害予告をしている二人に同情の余地はなかった。
「嘘よ…私は知らないわ」
「そうだ!証拠は!」
二人は真っ青になり否定をするも。
ソーマが前に立ち、証拠を突きつけたのだった。
「残念ながら先日の飼育舎には鍵が破られた跡があった。そこに髪の毛が落ちていた」
「だから何だ!」
「そして飼育舎での後に誰かが入った形跡がる。もちろん飼育係は鍵を魔法で打ち破る必要はない…なのに何故君が写っているんだ」
水晶で壁に写されたのはユーフィリアの姿が写っていた。
「なっ…」
「これを探していたんじゃないか?」
差し出したのは宮廷師団に渡される魔法石のついたイヤリングだった。
「あっ…」
「君の部屋から小瓶が出て来たよ」
「それが何だと…」
「錬金術科に調べさせたら違法の薬だ。ルートを調べるのに苦労したが…君が購入した記録もある。言い逃れは出来ない…フェンリルに新しい黒魔術の実験をしたのだろう」
床に叩きつけられたのは禁じられている黒魔術だった。
そこには見慣れた呪印が刻まれていた。
「これは以前私が受けた呪いと形が似ている」
「そうだ、過去に禁じられた黒魔術。間違えれば死に至らしめる…長らく研究がされていたそうだが。魔術書にまだ残っていたんだ…フェンリルは森の神、彼等に危害を加える事は罪」
「私じゃないわ。メアリよ!だって…黒魔術は白魔術の最高魔法でなくては解けないわ。術を作った人間なら…」
「残念ながら黒魔術は術者でも解けない。解けるのは白魔術を極めた者だけ…治癒師は他者を癒せても呪う程の魔力はない…メアリ・バルセルクには不可能だ」
「どうしてそう言い切れるの!私を憎んでいたからこんな形で復讐する気ね!悲劇のヒロインぶってあんて姑息なの!アークを奪われた腹いせにに…あの恩知らず!優しくしてやったのに」
「ユフィ止めろ」
「そうよ。私は悪くないわ…あの女が悪いのよ!この世に生まれてこなければ良かった…」
言いたい放題を言うユーフィリアに我慢ができなくなったリーシアは。
「この悪魔が!」
「この性悪が!」
最初こそは我慢していたリーシアだったがもう耐えられなかった。
裁判の形式を取るのは王族の参列が必要だったからこそ冷静でいなくてはならなかったが、ずっと殺してやりたいと思っていた。
「リーシャ、待て」
「この女は重罪人ですわ。婚約者を殺そうとした男に身勝手なこの女でもしかしたら死亡者がでたかもしれないわ。メアリ様があの後魔力消費でどれだけ苦しんだか」
「私も以前、呪いの影響を受けました。昼夜問わず苦しみました…何よりこんな裏切り許せない」
以前ギーゼラは呪いを受け、その間どれだけ苦しんだか。
後に解ったが呪いが強ければ浄化する側にも酷い痛みが走るのだ。
メアリはどんな思いで治癒したか。
その思い、苦しみを知らずに自分の欲望の為に長年利用したことは許せなかった。
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