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第三章真実の聖女

20メアリの意思

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「サリアン様」


気迫が強すぎて魔力により脅しをかけるサリアンを止めたのはメアリだった。

「学園長の判断は間違いはありません。正教公国を見下しているのではありません。生徒同士の問題に下手に介入すれば悪化します…身分が低ければ仕返しがある」

「メアリ?」

普段のメアリとはあまりにも違い過ぎる。
過度に庇うのではなく事実を前に出して事情を話す。

「身分が低い人間は権力者の前では無力です。被害者でも加害者にされ、最後には泣くのは誰か目に見えてます」

「それは…」

「下手に介入したのが教師ならば問題が起きます。故に生徒にその権限を与えていたからこそ大きくならなかった。苛められた側も身を守る術が必要なのです」


「サリアン」

「はい」

ペトロはどちらが間違いでも正しいとも言えなかった。


「正解の答えなんてありません。傲慢です」

「メアリ!お前、何か広い食いでもしたのか…ぶっ!」


失礼な発言をするユリウスだったがサリアンが聖書で頭を殴り頭を鷲掴みする。

「ババア!」

「口の利き方がまだなってませんのね?もう一度再教育が必要のようですわ」


見た目は老婆であるのに片手でユリウスの顔を掴み鷲掴みして持ち上げるなんて普通に考えて無理だったがペトロが怯えた表情で告げる。


「サリアンは元は神殿の女性騎士の訓練をしていたから腕力はピカ一だ。特に巫女や修道女しかない神殿は神官が問題を起こしたことがあるんだが」

「もしや」

「全員サリアンが返り討ちにした。未遂であっても修道女に手を出そうとした神官は二度とお日様を拝むことはできなくなったが」


実際年齢を知る人間はいない。
だが、女性聖職者の最高年齢とも言われているサリアンは教養だけでなく体術も伊達ではなかった。


「王族の方々を呼んだのは他でもありません。ご協力願います」

「はっ…はい、それは」

「勿論ですわ」


王女と王子である二人が立ち会う特別な裁判が行われる手筈が整えられた。






そして現在に至る。


「動くなよ、全て台無しにする気か」

「解ってます」


ロープを被りながら二人のやり取りを見守るメアリは辛そうにするもユリウスに腕を掴まれ正気に戻る。


「これは我らが調べた記録です」

「そしてこちらが、偶然にも映っていた記録です」


大勢の前に映し出されたのはモモンガ見ていた映像だった。


「なっ…これは」

「どうして!」


食堂での暴行に始まり、場所が代わり身分の低い生徒を見下していた。


そして公の前で映し出されたのは見るに堪えない物だった。


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