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第三章真実の聖女
16聖職者サリアン
しおりを挟む聖職者サリアン。
その名を知らない聖職者はいない。
若い世代の貴族は顔こそは知らなくとも法衣とロザリオが特徴的で名前だけは知っている者は多い。
女性でありながら神官長にまで上り詰め、間違った宗教裁判や魔女裁判を廃止するべく奔走した人物だった。
元は高貴な身分でありながらも今の世の宗教審判の不正を取り待るべく奔走した徳の高い人物だった。
「私は、この場に置いて罪を憎んで人を憎まぬことを誓います」
「何故…」
「今回の罪はあまりにも多い。貴女は聖女を名乗っただけでなく善良な生徒を虐げ、そして我らが敬愛する教皇猊下を侮辱し罠にかけようとした」
「は?」
「本来ならば私達がこの場にいる事は、彼女は最も罪深い行いをした故です」
サリアンの言葉にその場に参加していた生徒も狼狽える。
正教公国が介入する程の罪とは何かと思う。
「私達正教公国は白き魔導士様、教皇猊下にお仕えするのが役目。この世にお生まれになって成長された後に白のグリモワールに選ばれし乙女が我ら正教会を導く長となります。その方を侮辱するのは大重罪となるのです。猊下の名をかたる事も言語道断」
「待ってください私は…」
「聖女とは教皇猊下以外はありえないのです」
前に一歩踏み出し告げる。
「聖女を名乗っただけでなく貴女は淑女としてあるまじき行動を行いました。学園長」
「既に彼女に弁護の余地はありません」
「学園長!」
一方的な言い方にユーフィリアは納得できなかった。
「私は聖女なんて自分から名乗ってないわ。もし罪に問われるならばメアリよ」
「そうだ。戦場の聖女と名乗っていた…」
「彼女は戦場の治癒師です。そして母君は正教公国でも三大聖人の一人に入ります。何より彼女は聖女に相応しい振る舞いをしていましたが、自分から名乗った証言はありません。ですが貴女は自分から聖女とだ言っていたそうですね」
「それは…」
「発言をお許しいただけますでしょうか」
ユーフィリアの言葉を遮るように名乗り出したのは中等部で風紀委員の代表だった。
「ルイージ・カインと申します。私は数日前からメアリ嬢に対する悪質な嫌がらせについて調べていました。嫌がらせしていた主犯が監察隊の監察対象となっていたのですが…ある物が見つかりました」
「いいでしょう。証言を認めます。良くて?学園長」
「勿論です」
ユーフィリアを冷たい視線で見るルイージは獲物を見る様な目を向けていた。
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