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第三章真実の聖女

10三人でほっこり

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視察団の恰好をしながらもかくれんぼの気分でワクワクするメアリだったが、日差しが強く、高齢のペドロとサリアンの表情は良くなかった。


「二人共!アイスを食べましょう」

「え?」

「それは…」

「暑いですから」

メアリは涼める場所を案内する。

「すごくいい場所があるんですよ。私の特等席」

ペドロの手を引き向かった先は人通りの少ない場所だった。

時計塔の中だった。
隠し通路に中に最上階に行くことができるエレベーターがある。


「少し狭いですけど」

「これは…昔を思い出すな」

「そうですね。昔はよく執務を抜け出して隠し通路を使ってましたわね」

「むっ!」


童心を思い出しながら胸をときめかせるペドロは最上階に向かう。
時計の裏側にも抜け道があり、そこから屋根を歩き、全体を見渡すと素晴らしい景色が見える。


「アイス買って来たんでどうぞ」

「これは懐かしのアイスキャンディではないか」

「法王様は昔からお好きでしたね」

「大好物だ」


アイスクリームではなくアイスキャンディを好む貴族はない。
アイスキャンディは庶民の好む氷菓子だったが、メアリもこっちのほうを好んでいた。


「景色を見ながら舐めるのが最高です」

「うむ…本当に」

「どうしました法王様?」


三人で景色を堪能しながらも学園内の校舎内で黒い煙が見えた。


「何だ…あれは」

「法王様、空気がおかしいですわ」


二人は魔力と同時に強い察知能力がある。
僅かな風の動きで大気のおかしさを肌で感じることがある。


「魔力の動きがおかしい…それに精霊が」

「ええ、魔法陣が揺れていますわ。あの広場にいる女子生徒」


「どういうことですか?」


二人の顔色が悪くなるのを感じながら鞄に直している白のグリモワールが反応する。

「え?何で」

「魔力の歪みに白のグリモワールは反応しているのでしょう。白のグリモワールは銀の魔法…歪みを正すのです」

「じゃあ、あの先の魔法は歪んでいると?」

「ええ、あんな歪んだ魔法等…ここ100年以来ですわ」


(何歳なの!)


普通に行ったサリアンだが、軽々しく一世紀を生きている事を告げられ固まる。


「魔法もだが…先ほどから嫌な気を感じるな」

「ええ、まるで加護が消える様な」


「加護が消える?」


二人が食い入る方向を見ながら不安そうな表情をする。


そこで何がなされているのか解らないがまさかその場で――。



「どうして…何で魔力が!」

「ユフィ、どうしたんだ。もう一度」


とんでもない事が起きている事になっているとは知らずにいた。




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