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第二章魔導士の条件
19中途半端な噂
しおりを挟む一般科の一部の間に広まる噂は広まりつつあったが、噂がガセネタである説も浮上して来た。
「随分と頭の悪い連中です事」
「そう言うな、僕達もソーマ先輩に言われるまで気づかなかった」
「それだけ噂の信憑性が低いと言う事でしょう」
高等部の一部に出回っているメアリの悪女説だが、騎士科の本科、専科は偽りの噂を流した者を探そうとしている。
他にも化学科、錬金術科の生徒もくだらない噂だと信じていなかった。
師の理由は、彼等は呪いに関しても研究しているからこそありえないことが解っているのだ。
通常治癒師の才を持つ者は他者を呪えば自分にも降りかかる。
質の良い治癒師は他人を呪う事はできないのだから。
できたとしても白魔術の使い手は治癒魔法に優れても攻撃魔法が全く使えないのは誰もが知っている。
なので不可能だった。
何より特別科や、ミカエルとリーシェの耳に入らないように噂を流している時点でおかしいと思ったのだ。
誰かが故意的に噂を遮断しているにも思えたのだ。
「普通噂を流すならもっと上手にするはずですが…」
「学園長もどうお考えなのか解らないが、このままでも自滅する」
「そうですね。ですが、自滅だけで済ませるのは不愉快です。あの馬鹿二人にはどれだけの事をしでかしたか理解させる必要があります…公の場でね?」
「ギーゼラ、負のオーラ―を出すなよ」
ある意味一番怒っているのはギーゼラだった。
命の恩人であるメアリを長きに渡り苦しめ、未だにメアリを悪女に仕立てあげようとしたあの二人には勿論、事実を確かめることなく茶番劇に流される生徒達。
彼等は正義感を振りかざしながら憂さ晴らしをして他人を陥れて陰で楽しんでいる。
その行為は誇り高き戦士にとって有るまじき行為だった。
「あのような下衆が聖騎士なんて認められません」
「どうせあと数日だろう?視察団が来たらアウトだ」
ここで騒ぐよりも確実に潰せる方法があるとユリウスは提案をする。
「メアリの事はソーマ先輩に任せるとしてだ。あの馬鹿達を確実な方法で追い込む計画がある」
「何をするんだユリウス」
「黒幕はあの女で間違いない。ならばそれ相応の報いを受けさせてやろうじゃないか」
あくまでこちらは正当な方法で行くつもりだったが、ここまでされたのなら別だった。
「黒幕は予想ができている」
「何か知ってますの?」
「これを見ろ」
取り出したのは魔道具だった。
「これは…」
「実は試作品の魔道具で映像も録音できるらしいんだが、植木鉢に落ちていたんだが」
小さな水晶になっている魔道具に手をかざし過去の映像を再生すると、ある映像が映し出された。
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