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第二章魔導士の条件

17悪女説

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その頃一般科ではメアリが療養中である事を良い事に言いたい放題だった。


「ねぇ聞いた?あの噂」

「聞いたわ。聖女様に嫉妬して騒動を起こしたんですって」

「それで魔力を消費して寝込むなんて自業自得よね?あのまま死ねば良かったのに」

「そもそも何様なの?」


メアリが学園を救った噂と反して、元のクラスではメアリの悪女説は再び浮上した。
ユーフィリアに嫉妬して自作自演をしたと噂が流れ、賛同するようにメアリを悪女にして噂を楽しむ生徒達。


「皆、そんな言い方は…」

弱弱しく庇おうとするユーフィリアに対してクラスメイトはメアリを罵倒した。


「優し過ぎますわ。ユーフィリア様!王族の皆様も巻き込んで…きっとおかしな魔術で操っていたのよ!」

「そうよ。このままあの女を罪人として追い出されればいいのよ」

「すべては私の所為なの…私が全部!」

「違う。君は悪くないだろ」

涙を見せながら泣くのを我慢するユーフィリアの肩を抱きながら親指で涙を拭いながらアークが自分を責める。

「優しかったメアリを変えてしまったのは俺だ。俺が彼女を裏切ってしまったから」

「アーク、私はどう償えばいいのかしら…妹のように愛していたあの子を傷つけあんな事をするなんて」


「二人は悪くありませんわ」

「そうよ…大体、権力で物を言わせていたんでしょう」

「そうよ!最低なのはあの女よ。とんだ治癒師だわ…善人の皮を被った最低最悪の悪魔だわ」


教室ではメアリの悪女説が日増しに酷くなっていく。
最初は信憑性のない噂から始まったが、メアリが病床に臥していることで様々な噂が飛び通った。


「前からおかしいと思ったのよね」

「通常、治癒師は治癒魔法を使うと体力を消費するのに」

「あの女はピンピンしていたわ。きっと呪われているのではなくて?」

同じ戦場に出た治癒師はいたが、戦場で倒れる治癒師は多く、メアリは最後まで戦場に残ることができた事に疑念を感じていた。

「魔牛に関しても最初から操っていたのよ」

「バルセルク家は悪魔を育ててたのね!」

「でも、あの女も姿を見せないことから来ているかも怪しいわね」

「だけど、また何かするかもしれないわ!私達で聖女様を守りましょう」


クラスメイトの半数以上はユーフィリアの味方だった。


「皆…ありがとう」

「だが、彼女は俺の大切な幼馴染だ…だから」


あくまでメアリを庇う優しい婚約者を演じるアークにクラスメイトは更にメアリへの憎しみを込めていた。


その様子を見ていた一つの影に誰も気づかなかった。


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