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第二章魔導士の条件

16引きこもり

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魔力の消費が激しく、しばらくは療養生活を余儀なくされたメアリは監督生専用の寮内で快適な引きこもり生活を送りながら、今日も手紙を書いていた。


「お父様から手紙が来ない…どうしてかしら」


毎日のように手紙を送っているのに、一向に返事が届かない事に困っていた。


「早く婚約解消をしたいのに」


手紙ではアークとの婚約解消と、婚約解消をしてもカートン家と関係を壊す事来なく平和的な解決を方法を提案していた。


ただ婚約解消となればこれまでの支援はできないし、アークはバルセルク家に婿養子になる予定だったので、これまでのようにとは行かないが、できる限り関係が変わらないようにと手紙に書いていた。


「はぁー…」

「失礼するぞメアリ」

「ソーマ先輩!」


手紙を書いているとソーマが部屋に入って来る。
その手にはバスケットにパンが沢山は言っていたのだ。

「浮かない顔をしているな」

「いえ…すいません」

直ぐに便箋を隠そうとするも、既に見つかっているので意味がない。


「父君に手紙を書いていたのか?」

「はい、返事が中々届かなくて」

「そうか。もしかしたら何らかの事故で手紙が届いていないのかもしれないな」


早く婚約を解消したいメアリは困り果てる。
療養中の身としては領地に戻ることもできないのだから。


「ならばその手紙を俺が届けよう」

「え?」

「バルセルク領地に行く用事があるんだ」

「よろしいのですか?」

「ああ。だから俺が戻るまでここから出ないで大人しくしてくれるか?約束だ」


優しく言い聞かせるソーマにメアリは素直に頷く。

「いい子だ。大丈夫だ…父君は大丈夫だから」

「はい、ありがとうございます」

「それから療養生活は退屈だろうから面白い物をあげよう」


差し出されたのは。


「俺の使い魔だ」

「キュー!」

「可愛い」

手に乗るサイズの魔獣のモモンガだった。


「この使い魔を介して外を見ることができる。この水晶玉にこいつの見た風景が映る。これなら退屈じゃないだろ?」

「いいんですか…これは」

「まぁ、犯罪にならなない程度な?」

「はい」


下手をすれば犯罪になるので、他人のプライベートは除かないようにしようと心に誓うのだった。




しかしこれこそがソーマが仕組んだ罠だった。



(悪いな、メアリ…)


部屋を出た後にソーマはもう一匹の使い魔を呼ぶ。


「頼んだぞ」

「キュー」

ソーマは使い魔のリスの首輪にも魔石と音声録音機を装着する。


「なんとしてもあの悪女の悪事を公にする…そして真実を」


苦渋の選択の末に強引な手段に身を乗り出したソーマはメアリのいる部屋を見る。


「メアリ、許してくれ」


この計画が実行されればメアリは傷つくだろう。
泣かせてしまうかもしれない。

心の中で謝り、そのまま去って行くのだった。


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