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第二章魔導士の条件
5魔牛の行進
しおりを挟む先日大暴れした魔牛の親玉に乗っているメアリに眩暈がした。
「何をしている」
「お散歩です」
「「「モォー!」」」
散歩と言われても意味が解らない。
何で乗馬するノリで魔牛に乗っているのかと尋ねると。
「ついさっき」
「おい、俺が聞いているのはだな!」
ユリウスの言葉を無視して勝手に語り始めるメアリ。
そもそもこうなった原因はメアリが生徒会室の掃除をしていた頃。
「ふぅー!ピカピカです」
「すごいな…見違えるようだ」
ソーマと一緒に生徒会室の掃除を終え、一息つこうとした時だった。
「モォォ!」
魔牛が突っ込んで来た。
「俺の城ぉぉぉ!」
窓をぶち破って来た魔牛は生徒会室の窓ガラス木っ端みじんにした。
「先週に新しくしたばかりなんだぞ!」
「モォォ!」
魔牛は目を光らせ角に魔力を込めた。
「モォォォ!」
「は?」
角を光らせ、鳴き声を上げると仲間が突っ込んで来た。
「生徒会室が…俺の城を壊すんじゃない!」
ソーマはこれ以上被害を増やさないために自身のグリモワールを取り出すのだが。
強い魔力を感じる。
「この魔力は」
「失礼」
「シンディー!」
騎士の装いで壁をぶち破って現れたのはソーマの相棒のシンディアだった。
「少し、しくじってしまった」
「しくじって何で生徒会室をぶっ壊すんだ。お前は先週も校舎を間違えて壊したよな?」
「細かい事を言うな」
「細かくないだろ!」
学園では憧れの存在で男装の麗人であるがかなりガサツだった。
細かい事が苦手で、腕力に物を言わせるタイプだった。
「魔牛を興奮させてしまった生徒がいてな」
「手伝ったら余計悪化したのか」
「ああ!」
「誇らしげに言うな!」
生徒会室はめちゃくちゃだった。
修復魔法を使えばある程度は元に戻るが、破損した限度がある。
「モォォォ!」
「まずい、魔牛がまた暴れはじめるぞ」
魔牛は標的を見つけたのかそのまま攻撃して来るかのように見えたのだが。
「あ?」
「メアリ!」
魔牛の親玉がメアリの服を咥え放り投げる。
「わぁぁぁ!メアリ」
「すぐに魔法を…あれ?」
外に放り投げられたメアリを魔牛は背に乗せ連れ去って行く。
「誘拐か!」
「それも違う気がするぞソーマ。彼等はメアリを乗せたいんじゃないか」
最初からこの生徒会に突っ込んで来たのに違和感を感じたシンディアだったが、彼等はメアリに会いたかったのだと気づく。
「どうするんだ」
「まぁ、メアリに任せておけばいんじゃないか?」
「丸投げかよ!」
こうしてメアリは魔牛のお散歩をする事になった。
***
「何所から突っ込んでいいか解らないな」
「いやぁ、照れます」
「褒めてないからな!」
ユリウスはメアリの神経の図太さに呆れていた。
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