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第一章婚約破棄と白のグリモワール
11侍女
しおりを挟む休学していたメアリは夏休みを待たずして復学となった。
しかし。
「セイラも学園に入る?」
「はい」
あの後お茶会でお菓子を沢山食べて満足したのか眠ってしまったメアリはリーシアの部屋で爆睡した後に丸一日寝てしまった。
疲れと精神的な負担が大きかったと医師にも判断された後に、ましてもギーゼラが発狂したのは言うまでもない。
ギーゼラはダークエルフの長の娘で、身分は高かった。
多くのダークエルフを従える立場なの学園の生徒を皆殺しにするぐらい動作もなかったが、メアリが望まないとミカエルが窘めた。
直接手を下した騎士科の生徒は罰を与えられたが、陰口や嫌がらせをしても証拠がなければどうする事も出来なかった。
だが、それも時間の問題だった。
この学園で苛め等は校則違反なのだから。
ただ、ミカエル達が過度に庇えばメアリの立場は良くならない。
苛めを静観している者、介入しない者を味方につける為にもメアリの身の潔白を証明する必要があったので学園に復学させるのは必要だったのだが。
そこで傍仕えの侍女、セイラが学園に入る事を提案した。
外から守るのも限度があるとの事でミカエルが話を持ち掛けると二つ返事をして学園に入る事を決めたのだ。
「お嬢様をお一人にできません!常にお傍にというわけには行きませんが。お邸で待っているだけなんてできません」
「セイラ、でもね?」
学園で悪女と噂をされている。
セイラも立場が悪くなるし、危害を加えられたらと思うが。
「大丈夫です、折りますので」
「何を!」
深く突っ込んでしまうメアリにリーシアは笑みを浮かべる。
「良くてよ。強い女性は好きですわ」
「ええ、良き侍女ですね」
ギーゼラも同意していたので、セイラを止めてくれる人はいなかった。
「今後公務にも入って貰うから、侍女は必要だ。ギーゼラは護衛になるからな」
「え!」
「本来ならば近衛騎士を護衛にしたいが、今は信頼をできる者を優先したい」
近衛騎士が護衛にできるのは通常王族で直系の血筋ぐらいだ。
「そんな…私なんて」
大慌てするメアリにリーシアは優しく言い聞かせる。
「メアリ様、いきなりで頭が追い付かないのは解ります。一時に色々聞かされましたし。戸惑うのも無理もありませんが」
「まぁ、白魔導士でなくとも戦場の治癒師は重宝するのが当然なのですがね?」
「姫様…」
優雅に微笑みながらもリーシアの怒りが伝わる。
学園までも腐敗しきっている事が許せないとヒシヒシと伝わって来た。
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