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第一章婚約破棄事件
閑話1.違和感
しおりを挟む学園での事件があって二週間。
何もないように見えて水面下では色々の騒動が起きていた。
特に帝国内の経済に影響が出ていたのだ。
社交界にレティシアが姿を見せなくなってから、お茶会の雰囲気は悪くなり。
ブリリアント商会の商売が縮小されるとの噂が出回った。
これまで商会の恩恵を受けていた貴族や、良心的な料金で仕事を受けていた貴族やお金を借りていた下級貴族との取引も一切断られてしまった。
そうなれば困るのは平民よりも貴族だった。
舞踏会の為に美しい服を仕立ててもらったり、時には我が家で舞踏会を開く時にも調度品を取り寄せたりすることも少なくない。
特に大問題となったのが商業ギルドが貴族に対して反感をもちだしたのだ。
商業ギルドに属している職人のほとんどは平民で、彼等がストライキをすれば帝国中の経済は一瞬で傾く。
貴族達は彼等を人間以下にのよう見ている所があるが、彼等がいなくなったら生きていくこともままならなくなることを理解していないのだ。
そうとも知らずに未だに愚かな一行は今日も愚行を繰り返していたのだ。
「何だ?店が閉まっている?」
「おかしいですね」
学園で問題を起こしている皇太子殿下とそのとりきまきだった。
「他の店も様子がおかしく」
「折角来てやったと言うのに。ルカの為にケーキを買いに来たと言うのに」
「近くに私の知っている商会がありますので」
側近に言われ、皇太子殿下事。
ハワードは不機嫌になりながらもその商会に向かったのだが。
「申し訳ありません、我が商会はお約束のあるお客様と会員の方以外はお引き取りいただいております」
「何だと…何故だ」
「ブリリアント商会が商売の規制をかけられた為、その傘下にある我が商会も同様です。これは業務命令ですので」
「私は…」
「申し訳ありませんがお引き取りください。これは皇太子殿下のご命令です」
「は?」
門前払いを食らったハワード達は唖然とする。
「これはどういうことでしょう」
「商売を自粛城など俺は言っていない。どうなっているんだ」
訳も分からず、ハワードは一旦学園に戻る事にしたのだった。
馬車で学園に戻るも、一行を見る者は何かヒソヒソ言いながらも視線を合わせることがなかった。
「何だ、この雰囲気は」
「はい、ここ最近…」
「おかしいですね」
取り巻き達はここ数日の雰囲気がおかしい事に違和感を感じた。
「ルカはまだ寮にいるのだろう」
「可哀想に、きっとまだ臥せっているのでしょう」
彼等は愛しい少女を思い浮かべながら学生寮に向かおうとしたのだが、少女に合う事はなかった。
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