訳あり伯爵夫人の憂鬱な溜息~旦那様が今日もブチ切れそうで困っています!

ユウ

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第一章婚約破棄事件

21.被害

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嫌な予感がしていました。
学園内で行われている婚約破棄騒動。

何かのイベントかのように一部の生徒が行った所為で、真似をするようになったとか。

被害者は女子生徒で、被害者が増える一方で見かねたレオナルドとリリアンお嬢様が話を聞いて慰めていたのですが、その場に現れたとある女子生徒の元婚約者が、責めたそうです。

余りにも酷かったのでレオナルドがたしなめたのですが、自尊心の強い方だったらし逆上したのですが、レオナルドは手を出すことなく穏便に話をしようとしたのですが手を上げたそうです。


しかも最悪な事に。


「リリアンを突きとばそうとしたんだが、レオナルドが守ってくれたんだ」

「なんて事を」

「女性に手をあげるとは何事だ」


聞けばレオナルドはリリアン様を抱きしめ階段から落ちて頭を強く打ったそうです。
幸いにもセレニティーが傍びいたので応急処置をしたそうですが。


「本当にすまない」

「息子は、紳士として当然の事をしたのです」

「詫びるべきは、女性に手を上げた非常識な者ではないですか」


不安で押しつぶされそうでした。
階段から落ちて頭を打ったと聞きましたが怪我は?

大丈夫なのかと。


「レティー、大丈夫だ。きっと…」

「はい」

旦那様が手を握ってくださいましたが不安が消えません。


「本当になんと詫びたらいいのか」

「もうお止めくださいませ。息子はリリアンお嬢様に何かあった時はお守りするように言っております」


そうです。
レオナルドは何一つとして悪い事はしておりません。

そして侯爵様も。


「しかし皇太子妃候補のお嬢様に手を出す等…」

「それなんだが…今回の事件を引き起こした原因が殿下だ」

「は?」


皇太子殿下が?


「学園内の婚約破棄騒動を起こし始めたのが殿下、一人の女子生徒を取り合っている。全員婚約者がいる男だ…」


これはゲームと同じではありませんか!

「お嬢様は…」

「特に気にしていない…というか喜んでいたな」

「「あー…」」

なんとなく想像ができました。
ゲームでは孤独なお嬢様でありましたが、現実は違うのです。


「まぁ、幼い頃からあのバカボンですからね」

「そうですね」


侯爵夫人を亡くされたお嬢様は悲しみを消す様に淑女教育を頑張られました。
それはもう痛々しい程にです。

見ている方が辛くなるほどに。
その所為で同年代の令嬢よりも優秀でしたが、その一方で皇太子殿下は優秀ではありませんでした。


それだけなら良かったのですが我儘で傲慢で、偏った性格をしていたのです。
対するリリアン様はお優しく厳しさを持つことながら皇帝陛下にも認められる程の有能ぶり。

それ故に二人の関係は良くなかったのです。




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