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第一章婚約破棄事件
17.我れらの女神様~マークside
しおりを挟むアスガルト伯爵家は長く続く伯爵家でした。
しかしながら高位貴族と渡り合えるほどではありませんでした。
高位貴族と渡り合える貴族に、そして世界一の商会にすることが我が主、ケネシー様の願いでした。
海を越えて商売をしたい。
それがケネシー様の夢でもありました。
その為にも社交界で女性達に愛想を振りまいていました。
その一方で、ケネシー様が女性に対して距離を持っていらっしゃいました。
ケネシー様の興味はお金稼ぎ。
女性に愛を囁く暇があるならば金を数えるのが好きな方。
女性達はケネシー様の一部しか見ておりませんでした。
そんなあの方が、女性に興味を示した。
それが奥様でした。
今まで女性を口説く事は簡単だったというのに、奥様の前では思春期の少年のように情けない姿を露わにしました。
妻のヴィルマも呆れていたのですか、それだけ真剣だったのです。
そして、紆余曲折を得て、奥様に結婚を申し込んでからは全てトントン拍子でした。
結婚して一年も満たない内に子供を授かり、その後は高位貴族との渡りを作り仕事も家庭も順調だったのです。
全ては奥様が嫁がれてからアスガルト家は幸運に恵まれたのです。
その一方で奥様を捨てた馬鹿な男は家が傾き始めたと聞き、内心では自業自得だと思いました。
何でも後から聞いた話ですが浮気した女性は貴族ではりましたが、妾の子で支度金もろくになかったとか。
しかも、結婚式のドレスは奥様に合わせて作っていたのでサイズが追わず無理して手無しをしてたので裾が短くなり見っとも無く、招待客はほとんど事態をした所為で結婚式の資金に充てるお祝儀はあてにならなかったとか。
新居に関しても、婚約者の父親からの贈り物を強引な形で奪ったと噂を流され、新居の維持費を支払うのに借金をせざる得ないと悲惨な状況になっていました。
私は傍観し、何もしませんでした。
そう、何もしなかっただけ。
助ける義理はない。
お金を借りに来ても返す見込みがないので門前払いをしたのです。
奥様と接触しないように気をつけていたのですが、どうやら噂を聞きつけたようですね。
社交界で奥様の名は有名になっています。
侯爵令嬢の家庭教師をされ、侯爵様からの信頼もいただいている奥様は社交界では一目置かれておらえるのです。
女性ながらも、仕事をして自立し、教養の高い奥様は有名です。
このタイミングで現れるなんて!
私としたことが!
なんという不始末でしょう。
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