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第一章婚約破棄事件

11.本当の始まり

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あの事件から十年。
私は今も変わらず、侯爵家の家庭教師を務めながらブリリアント商会の副会長としても忙しい日々を過ごしていました。


十年とは早いようで長かった。
そしてついも物語がスタートするのです。


君僕の物語にヒロインが学園に転入して来て始まるのですが。


「セレニティー!早く起きろ、入学式早々に遅刻するだろう」

「うー、眠いわ」

「昨日明け方まで研究室に籠って何をしていたんだ」

「明け方の爆音はそれか」


娘のセレニティーは外見だけは美女ですが、科学オタクとなりました。
昼夜問わずに引きこもって研究をしています。

職人気質と申しますか、商人には向いていおりませんが、生産ギルドとしては稀に見る才能があります。


対するレオナルドは旦那様に似て万能です。
しかもかなりの器用貧乏と申しますか、優秀ではありますが根っからの苦労人です。



「早くしないとリリアンが迎えに来るぞ」

「うー…」

リリアン様とは幼馴染でもあり良きお付き合いさせていただいております。


「私は侯爵令嬢を送迎に使うお嬢様に恐ろしさを感じるのは気のせいでございましょうか」


リリアンお嬢様はお母様の死をきっかけにしっかりするのようになられました。
完璧な令嬢であるべく努力されましたが、清い過ぎて周りから距離を置かれていたのですが、セレニティーが間に入る事により、責任感が強く面倒見の良い令嬢として評価されるようになったのです。


セレニティーはマイペースでのんびりしているので、ある意味対局と言えるでしょう。
ちなみにですが、皇家からお嬢様と皇太子殿下の婚約の話は出ていました。

ですが、リリアンお嬢様自身が皇太子殿下に全くの関心がありません。
皇帝陛下はなんとかして婚約を成立させたいようですが、リリアンお嬢様は淑女教育だけでなく多方面に優秀故に疎まれています。


入学式の実力試験でもリリアンお嬢様は学年首席。
何より学園では王子様がいますので彼の存在は霞むのです。


その王子様というのが。


「ごきげんよう。先生」

「ご機嫌麗しゅうございます。リリアンお嬢様」

セレニティーの迎えに来てくださり、ご挨拶をしてくいただきました。

「毎朝申し訳ありません、リリアンお嬢様」

「いえ…そのような」


これなのです!
リリアンお嬢様はレオナルドに恋心を抱いているのです。


皇太子殿下や他のご子息はスルーなのにレオナルドに対しては可愛らしくなるのです。

あの痛ましい事件以来、腫物を触るように接する貴族が多かったですし。
リリアンお嬢様を貶す輩も多い中、常に女性には紳士であれという旦那様の教えでレオナルドはリリアンお嬢様を庇い支えていたのですが…兄と妹のような関係がこのように変化してしまったのです。


まぁ、貴族子息の中には女性を品定めするよう方も多い中、レオナルドは正統派の貴公子ですから。
外見も旦那様にそっくりですから仕方ありません。


実は侯爵様より、婚約の申し入れが来ているのです。
どうやら、皇太子殿下とリリアンお嬢様を婚約させるのは反対だそうなのです。


私も将来浮気男になるなら早々に婚約解消をさせたい所です。
何より他に好きな方がいるのなら、応援したいと思っておりますし。


ですが、物語を大幅に変えてしまった事。

そして、私が悪役令嬢の庇護者である事ゆえに、トラブルに巻き込まれるのは避けられなかったのです。


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