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序章~出会い

1.現世でも婚約破棄

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このように私の前世の記憶を思い出したのは15歳の頃。
転生後は貴族令嬢として生を受けたのですが、私が物心つく前に母は亡くなり父も14歳の頃に亡くなったのですが、幼少期から婚約をしている幼馴染がいました。


その彼と彼の母に婚約破棄を突きつけられた後に邸を奪われたのです。


そう、無一文で放り出されたも同然でした。
これは契約違反となるし、新居は私の為に父が生前の頃に建ててくれたのです。


なのに。



「婚約破棄をしてくれ!」

「は?」


結婚式直前で前世と同じような事を言われました。


結婚式は来月というのに、急な話で私は固まった。
前世ならばともかく貴族同士の結婚は義務であり支度金は既に支払われていたのではいそうですかというわけには行かない。


「あの…話が見えません」

「真実の愛を見つけたんだ。君との間に愛はない。結婚は愛する者同士がするものだ。幸いにも君の父上が亡くなっているから話は白紙にしたい」

その言い方、何と言う事でしょう。
まるで私の父が死んで良かったと言いたげな言葉でした。


「お相手は最近貴方と懇意になさっていたご令嬢ですね」

「彼女は悪くない!酷い言い方は止めてくれ」

「まだ何も言ってません。解りました婚約を解消…」

「婚約破棄だ!」


何故解消ではなく破棄を強調するのでしょう。

「婚約破棄は互いに傷を作りますし…」

「ジャスパー様!」


そこに乱入者が現れ、事態は最悪な方向に進みました。
現在ここはギルドが利用するカフェですが、人はちらほらいます。

ギルド長に貸し切りにしてもらいましたが、後ろで職員が困っているのが解る。


「ごめんなさい…でも私!」

「君は悪くない。君を愛してしまった俺が悪いんだ。俺達は真実の愛を見つけ、偽りの愛には耐えられない」


何を見せられているのでしょうか。
何を聞かされているのでしょうか?


というか非常識ですね?


非常識極まりない!


「ここは公共の場です、お静かにしていただけますか」

「こんな時にも君は!」

「マナーを守ってくださいと言っているんです。私は婚約解消に反対はしません」

「本当に婚約破棄をしてくださるんですか!」

「だから…」


アイリーンさんは以前から思い込みの激しい方だと思っていましたが、ここまで酷かったでしょうか?


「とりあえず結婚式に関してですが」

「それは、問題ない。俺達がそのまま参加する」

「では、私の支払った分を…」

「酷い、お金の事なんて!レティシアさんが気にするのはお金なんですか!」

「まったく見損なったぞ」


何故そう言う話になるのか。
婚約を解消するなら結婚資金と支度金は返金するのが当たり前ではないのでしょうか。


「では、新居の方は」

「あそこは俺達が住むから君の荷物は処分した。名義も変更してあるから問題ない」

「はぁ?」


あの家は父が私の為に建ててくれたというのになんて事をしてくれたのでしょう。

いいえ、権利は私にあるのに。
彼等は勝手に勘違いをして、自分の物にしてしまったのでした。


しかも何故か、婚約破棄の原因は私を強調し、自分達の物だと言わんばかりでしたので私も正論を告げましたが私を悪者に仕立て上げてカフェで大騒ぎをした二人は新居の権利を奪ったのでした。


後ろ盾のない私は成すすべもなく放り出されたのでした。




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