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第七章
16.女神の雷~文林side
しおりを挟むブロード王国と協力して、指名手配中のあの男を探し拘束する事になったが。
捜索して三日ほどで簡単に捉えられることができた。
女王陛下の配下である水の妖精達が海中に潜んで仲間を集めて船を足止めしてくれたからだが。
「案外馬鹿だったな」
「ええ」
ピラニアの姿をした妖精を逆に捕まえて金儲けしようとしたのが運の尽き。
彼等は通常のサイズはマグロサイズだ。
普段は小さいが、魔力で大きくなるのだ。
それを知らずに馬鹿すぎるだろう。
「何だ、この魚は!」
「侯爵様!狂暴です!」
「ええい!私を守らんか!」
本当に馬鹿ばかりだ。
こんな馬鹿の術中にはまる王も愚かとしかいいようがないが、事情を王妃陛下から聞けば少しだけ同情をした。
魔力至上主義の親に育てられ、苦しみ続けた王太子時代。
周りの友人は魔力があるものの、そこまで魔力に執着しないかった。
家庭環境も悪くなかったので羨んでいたとか。
エリーゼにも思うところがあって、内心では妬んでいたと。
「同情はできましても許せませんわよ」
「解っている」
妻の言葉も正しい。
「さぁ、今から水槽に入れて差し上げますわ。貴女が魔力タンクにしていた名もなき少年、少女達のように」
「やめろ…わぁぁぁ!」
傍に置かれている巨大な水槽にぶちこまれるあの男。
パンツだけは課された裸の侯爵は水の中で小さな魚に噛みつかれていた。
「痛い!かゆい!」
「そうそう、この子達に噛まれると全身かゆくなりますので」
「ひぃ!」
ここから拷問が始まった。
グレース女王陛下は正義感が強く慈悲深い方であるがあの男のような私利私欲の為に命をもてあそぶ人間に情け容赦はない。
聞けばあの男はエリーゼを亡き者にする計画をしていたそうだ。
特殊な魔力を搾り取った後は殺すつもりでいたのだから情けは必要ない。
まぁ、私達も平和主義なので殺すような真似はしないが。
だが、ふと思う。
「ある意味殺された方がマシな気もするがな」
「簡単に殺しては意味がありませんでしょう?」
やっぱり女性を怒らせると怖いな。
エリーゼよ。
魔女にはなってくれるなよ。
我が友よ。
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