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第七章

7.いいは母親ではないけど~ジリアンside

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マリアンヌに反省の色はなく、陛下も自分の非を認めない。
それどころかマリアンヌを許せと言う。

できるはずがない。
陛下はマリアンヌを可愛いと思っているわけではない。


ただ魔力が低いエリーゼが国の重要な位置になるのが嫌なのだろう。
問題が大きくなる前はマリアンヌを甘やかし溺愛していたが、いざ問題が大きくなれば疎ましくなったような態度が多い。


なのに手放せないでいる。


その優柔不断過ぎる陛下に王妃陛下も堪忍袋の緒が切れたのか強行突破に出ることになった。

だけど今の目下の悩みは。


「今頃エリーゼはイズラと…心配だわ」

「ジリアン、ロミオ殿が一緒だから大丈夫だ」

「解っています」


私も過度な心配をすべきではないと解っているけど、エリーゼが傷つけられないか。
心無い事を言われないか心配なのは仕方ないではありませんか。

「トリアノン夫人。その気持ちは痛い程解りますよ」

「ユアン様」

「私も幾度なく心配でした。娘が社交界で中傷されるたびに」

思えばシルビア様はエリーゼ以上に辛い立場だっただろう。

なのに、顔に出す事も態度に出す事もなかった。


「私は目が曇っていました。妻の苦しみ、愛する娘を救うこともできませんでした。ですが真っ向から立ち向かってくださったのはご息女でした」

「そんな…あの子は」

「例え陛下がエリーゼを認めなくとも私は叫びますよ。彼女こそ高貴さを持った資質があると」


この言葉だけでどれだけ救われるか。
私のエリーゼは足らない部分は多くとも多くの宝を得たのだから。


「フフッ、本当に似ていますわね」

「まぁ!」

サブリナ様は私とエリーゼがそっくりだというけど、そんなに似ているかしら?


「ええ、学生時代ご友人を苛める下級生を裏庭に呼び出し決闘を申し込まれたのは今も覚えてますわ」

「うっ…」

「そうだったね。君は勇ましかったよ」

「旦那様…」


学生時代の武勇伝は黒歴史なのだけど。


「ジリアンの強さはエリーゼに引き継がれている。だからきっと幸せになれるさ」

「他者の幸福を願う者が幸せになれないはずはない」


そうあって欲しい。
私はずっとあの子に厳しくして来たけど、誰にも馬鹿にされないで欲しいと言う思い。

そして私の未熟さ故だっただろう。

良い母親にはなれなかったかもしれないけど。

でもエリーゼ。

貴女は私の自慢の娘だったのよ。


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