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第七章

5.屈折した心

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「以上ですわ」



学園祭が終わり三日後。
マリアンヌは厳しい監視の元、脱走不可能な牢に送られ。
その後お父様とお母様は陛下の元で話し合いに向かったが聞かされた内容は頭が痛くなる内容だった。


「マリアンヌのお母様が貴族派の妃だったなんて」

「後見人はイズラを侍女にと頼んで来た侯爵家だ」

「そうですか」

もしかしてイズラは間違った情報を入手して、私が養女と思い込んだのだろう。

でも、そう思われても仕方ない程に私は色々抜けていた。


「私も最初からおかしいと思ったが…こんふざけた真似を」

「ユアン様」

「ああ、エリーゼ。なんて事を」

サブリナ様は涙ぐみながら私を抱きしめる。
そこまで悲しんでいないのだけど、周りが悲しんでいた。


「陛下も酷すぎますわお父様」

「ああ、今回ばかりはあんまりだ。いずれエリーゼを追い出すつもりだったようだ」

「それで王族派に抱き込むつもりでしたか?実に愚かな王ですね」

ロミオ様。

目が笑ってない。


「以前から王妃陛下が止めていたんだが、貴族派が王妃陛下の実家に色々横やりをしていたようだ」


ようするに私が怪我をした時もマリアンヌを学園に送る時も王妃陛下は貴族派の妨害で王宮を離れざる得なくんしたと。


陛下もいい様に使われていたと。


「はぁー…」

本当に頭が痛いわ。

「だが、好き勝手し過ぎたな」

「既に二国がエリーゼを支持しています。そして帝国の次期皇帝が彼女を害するのは許さないでしょう」

「ああ」


春麗様は陛下の事をすごく怒っていた気がする。


「エルフ族の女王陛下からも強く言っておくそうだ」

「事情を話したんですか」

「エルフは俺達よりもずっと多くを知っているはずだ。事情は話さなくとも陛下の歪んだ考えは察している」


ロミオ様の顔が怖い。
この短期間で陛下を虫けらのように見るようになっている!


「なんかごめんなさい」

「お義姉様が悪いはずありませんわ」

「そうよ」

なんというか、マリアンヌが歪んだ理由ってこれいじゃないかな。
陛下が私を憎む理由もわからなくはない。

卑屈とか同情とかじゃなくて、本当に思うわ。


「これからどうなりますか」

「陛下はしばらく病で臥せっている」

「本当は?」

「王妃陛下のお説教と調教だ」

表向きは陛下が長年に渡る病故に判断を間違えたと言う事にして、執務の代行は王妃陛下がするのか。

退位するのも時間の問題となるだろうな。


なんて恐ろしい事だろうか。


「ユアン様イズラは?」


「あれが一番厄介なんだよ」

厄介とはなんぞや?


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