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第七章
3.暴かれた真実~ユアンside
しおりを挟む私の登場に陛下の表情は真っ青だった。
「ユアン」
「以前からおかしいと思ったのです」
「何がだ」
この期に及んでまだそんなことを言うのか。
「お二人の息女にしては随分と傲慢でした」
「ユアン…」
「完璧な人間はいません。ですが、お二人のご息女が明らかな差別をなさる教育をするとは考えにくいのです」
幼少期から体の弱い姉君と天才と呼ばれる妹君を守っていらしたジリアン様は成人した後もサブリナが社交界で爪はじきになっても変わらず接してくださった優しい方だ。
対する公爵閣下も他国との交流を大事にして、偏見を持たれない方だった。
そんなお二人に慈しみ育てられたエリーゼは本当に良くできた女性だと今でも思っている。
ハイネ殿も口は良くないが根はお優しい方だ。
なのに彼女はどうしてあそこまで歪んでいたのか。
あの口汚さには覚えがある。
「アンネリア妃」
「なっ!」
「マリアンヌ様の本当の母君とそっくりでしたね」
私は懐からある書類を出した。
「何故そんなものが」
「この私を見くびらないでください」
最年少で宰相にまで上り詰めた私をあまり舐めないで欲しい。
「陛下、私の大事な嫁を…我が家の救世主を侮辱するなら私も考えがあります。彼女は妻の命を救い、娘を地獄から救い出してくださった方です」
「そんな大袈裟な…」
「は?」
「すいません!」
これ以上私を怒らせないで欲しい。
堪忍袋の緒が切れてしまいそうなのに。
「本当に素敵ですわ。エリーゼはこれ程の多くの方に慕われているなんて。流石ですわね」
「ある意味、彼女が王のようだな。ははは!」
「なっ…二人共何時からいた!」
何故かワインを飲みながら寛ぐロベルト様とスザンナ嬢が傍観して笑っていた。
「証言もばっちりだ。これを流せば父上はどうなるかな」
「そうですわね。退位だけではなく残りの余生は王妃陛下に鞭入りですわね。ああ、大変です事」
業とらしい言い回しだが、これまで王妃陛下の忠告を無視して来たのだ。
あの方はマリアンヌを公爵家に任せた以上は必要以上に庇うことはするなと進言していたらしい。
だが陛下は聞かなかった。
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陛下にとっては魔力と血筋が優れているのがすべてという元時代的考えが消えなかったのだろう。
その所為かエリーゼが疎ましかったのだろう。
魔力が低い貴族は冷遇される。
陛下も魔力は強かったが勉学は優秀じゃなかった。
その所為でご両親から𠮟責が続いたのだ。
対するエリーゼは魔力がほとんどないのに両親から愛されているのが許せなかったのだろう。
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