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第六章
40.国同士の為に
しおりを挟む後夜祭の花火が打ち上げられ、生徒達はキャンプファイヤーを楽しみ。
ダンスを楽しむ生徒や、バーベキューをする生徒と様々に今日一日を労い合っている。
疲労感はあれど、心地よい疲労感だろ。
皆、笑顔だった。
「エリーゼ様」
「はい」
「私はこんなに楽しいお祭りは初めてですわ」
春麗様が頭を下げ心からお礼を言われるも、成功したのは皆で力を合わせたからだ。
「エリーゼ様、私はこの日を一生忘れません。そして貴女の恩を」
「恩?」
「ブロード王国より、この度の功績をたたえ、我が帝国に力を貸してくださること。そして私の後ろ盾になってくださると」
じゃあ、目的は達成できたの?
春麗様は留学の目的の一つでもあったはず。
「そして、貴女様の鉢植えの明蓮花が満開になりました」
「え!」
「玄関に飾っていらした造花の花も生花となりました」
私が紙で作ったあれか!
「やはり貴女様は本物でした。明蓮花が咲き誇ったおかげで龍脈にも影響がでてくださったんです」
影響ってどんな影響があったんだろうか?
「グレース女王陛下のお力と明蓮花があれば龍神様も元気になられますわ。荒れた大地にもう一度命が芽吹くはずです」
「じゃあ…」
「祖国は救われます。本当にありがとうございます」
良かった。
これで春麗様は悲しまずに済む。
ずっと清い過ぎていた春麗様が心配だった。
「なんとお礼を申し上げて良いか」
「じゃあ、お願いがございます」
「何でもおっしゃってください」
春麗様が留学された目的は達成されたかもしれない。
だけどまだ本当の目的は達成されていない。
「来年に向けて清の国の生徒に学園に留学していただきたいんです」
「え?」
「清の国の技術を。文化を我が国に…文明開化すれば国は栄えるし潤います」
今回の学園祭でもヒシヒシと思った。
互いの文化をもっと知り、食文化を知る事は悪い事ではない。
「未だ清の国を良く思わない人が多いのは知らないから。清の国はどの国にも勝る伝統的な刺繍に芸術品が多い。他にも秘薬となる薬草…それを広めて欲しいんです」
清の国は私の前世で言う東洋医学。
治療に時間はかかるけど体に負担が少ない治療法だ。
「清の国の医療がこの先必要になります。食文化も同様に」
今回のパンに関しても清の国の名物の蒸しパンやお饅頭も体にすごく良い物だった。
「十年後、五十年後の未来を考えて欲しいんです。そしてエリシオン王国の良さを春麗様に知って欲しいんです」
きっと私の不遇を哀れに思うあまり、エカテリーナ様とも対立していたけど。
でもこの国は温かい人は多い。
「私は魔力が低くても優しい人がずっと守ってくれました」
「今なら私も解りますわ…エリーゼ様の申し出はありがたい事ですわ」
「では、これからもよろしくお願いします」
「はい」
二人で握手を交わし、春麗様は留学期間を延ばしてくれることになり。
来年、清の国の民が留学できるようにと色々とプランを出し合ったのだった。
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