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第六章
37.愚王の失態~スザンナside
しおりを挟む元より頭の固い大臣は魔力至上主義という考えがある。
男尊女卑で貴族至上主義な考えたを持っていたが、陛下は認めたくなかったのかもしれない。
「魔力こそかすべてと考えておられる陛下にとっては錬金術が魔力より過ぎれているのは認めたくないのでしょう」
「スザンナ!」
「エリーゼは魔力が低くとも、魔力に勝る才を持っています。錬金術という魔力よりも確実な技術を知らしめようとした。それが陛下は受け入れられなかったのでは?」
「ぐっ…」
馬鹿な考えだ。
中立側のトリアノン公爵は魔力に頼らずとも他国と十分に貿易をしている。
同じく宰相閣下もだ。
「魔力がないエリーゼ嬢は生贄。魔力こそがすべて」
「だが、力を示すには必要だ」
「貴方は何処までも愚かなのです。かつて愚王の過ちを繰り返すのですか!」
100年前に愚王と呼ばれた王がいた。
力による恐怖政治で国が乱れてしまった時代だ。
「ある程度の力は必要です。ですが国の九割は国民で魔力を持たないから差別すれば国民は革命を起こすでしょう」
「だとしても魔力の前には…」
「それが愚かだと言うのです。そうなれば精霊は我らを見限り、エルフの国は敵と見なすでしょう。そうなれば他国に攻め込まれる…我が国はこれまで安泰だったのは大賢者様のおかげなのですよ」
かつて王と共にこの国を作り上げた大賢者。
彼は魔力こそ少なかったが知恵で国を平和に導き、国に留まらず精霊達と森にて静かに暮らした。
その後彼の消息を知る者はいない。
一説には国を自分から出たのではなく追放されたのでは?とも言われているが。
真実は知ることができない。
「ですがエリーゼが優しい性格で良かったですわね。私だったら復讐して国を沈めてやろうと思いますわ」
「スザンナ…」
「長年社交界で苛められ、蔑まれて来た苦しみは相当な苦痛です。なんでしたら陛下も同じ目に合いますか?」
ガタガタと震える陛下はなんと情けないのか。
エリーゼは辛い立場を耐えながらも、自分の居場所を見つけて戦って来た。
「本当になんて事をしてくれたのかしら?先ほど女王陛下から手紙が来ましたの」
「何?」
「我が国は魔力がなければ人として扱わないのか…もはや王族として以前に人として心がないと」
厳しい性格であっても愛情深い女王陛下は慈悲を持って民に接していた。
だからこそ陛下の事は許せないとの事だった。
「エルフ族、そして南帝国の上皇陛下、上皇后陛下からも陛下に疑念を抱いておられますわ。このままではエリーゼ嬢は他国に迎えられますわ。そうなればトリアノン公爵家は陛下を見捨てて辺境貴族が一揆をしますわね?」
「それは」
「ですが、魔力がない者が嫌いなら良いではありませんか?」
この国から化学や技術をすべて無くせばどうなるか一度いた目を見ればいい。
ただし龍神の怒り。
精霊の怒りを買ったら国はどうなるか解りきった事だがな!
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