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第六章
34.嫌な共通点
しおりを挟むこれまでの出来事を聞かされ私は何とも言えなくなった。
まさかここまでとは思わなかったけど。
「揃って馬鹿だ」
「はぁー…」
二人に共通するのは私への軽蔑と憎しみ。
「エリーゼ様、このような事になるとは…何と申し上げては何ですが」
「春麗様が気に病まれることはありません。誰も悪くないんです」
どうしてここまでマリアンヌの心が歪んでしまったのか。
イズラはマリアンヌをどうしたかったのか。
「解らないわ。私の事をここまで憎むイズラ。そしてマリアンヌも私の事が気に入らないとしても、捨て置けば良かったのに」
私が公爵家を出て行けばマリアンヌにとって煩わしい物はなくなるはずなのに。
「エリーゼ、イズラは貴族派の回し者であったとしても、行動がおかし過ぎる」
「ロミオ様…」
「私も使用人の立場であそこまで増長するのはおかしい」
かつてスチュアート家の侍女を思い出す。
彼女は己の欲の為にすべてを得る為にサブリナ様を殺そうとした。
けれどベッキーはユアン様への思いが歪んでしまった事で罪を犯したけど。
イズラは?
「どんな事情があっとしても今回の事は許されませんわ。公爵令嬢暗殺未遂に加え、マリアンヌ様も裁判に欠けなくてはなりませんわ」
「エカテリーナ様」
「既に精霊から見放されたのですから」
「え?見放された?」
どういうこと?
マリアンヌに加護を与えていた精霊が見放すなんて。
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「ロミオ様が貴女の元に向かった直後、精霊を召喚しようとしましたが精霊が契約を切ったのです」
「契約を?」
精霊との契約が切れるなんてよっぽどの事だった。
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「精霊とは命を慈しむ者だ」
「他者を妬み、憎み続ける者を愛することはありません。まぁ精霊との関係性にもよりけりですが」
マリアンヌと精霊はちゃんとした信頼関係を築き上げることができなかったの?
私は魔力が低く守護してくれる精霊がいないから解らないけど。
「エリーゼ様、貴女は加護を持っておられませんでした。ですが精霊や妖精はちゃんと見ておられるのですよ」
「春麗様?」
「あの時絶妙なタイミングで風が手助けしたのは理由があるのです」
理由とは何なのか。
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