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第六章
27.前夜の家族会議~ジリアンside
しおりを挟むエリーゼがプラチナを賜って初めての大仕事。
私も緊張しながらも成功を祈ることにしたけど、当日は行くかどうか迷っていた。
「ジリアン、あの子の晴れ舞台を見に行こうじゃないか」
「そうよジリアン」
「ですが…」
私はここであの子の成功を見守ろうと思った。
お祭り好きのあの子の事だからまたおかしな勧誘をしたりしそうだわ。
私はその姿を見て怒ってしまう。
「旦那様、私は」
「君があの子を見て怒るなんて何時もの事じゃないか。誰も気にしないよ」
「そうよ。あの子の予想外の行動は学園でも暗黙の了解よ」
「二人共」
泣いていいかしら?
既に学園側でも許可が出る程あの子の行動は…。
いいえ、それもあの子の個性として受け入れなくては。
やり方は色々問題であるけど、いい方向に進んで来たのだから。
「ですが、当日はマリアンヌの監視を」
「それね…」
「こんなことは言いたくありませんが、学園祭は大事な行事です。万一学園祭で問題が起きればあの子の責任となります」
マリアンヌのこれまでの行動を思い出せば何もしないとは言えないのよ。
疑いたくないけど、既に私はあの子を信用できない。
大人しくしてくれればいいのだけど。
「陛下にはマリアンヌを退学させる事を伝えてあります」
「いい加減陛下も首を立てに振っていただきたいものです。マリアンヌの加護がそこまで必要かしら」
「聖女候補のサーシャさんがいるけど…マリアンヌも強い魔力。特に強い加護があるからね」
当初からマリアンヌを贔屓目に見ていた陛下や貴族派の貴族達。
その理由は女神の加護を持つ数少ない内の一人だからでしょうけど、既に聖女の資格を持つ光魔法を持つ少女が現れた。
サーシャさんは既にその才を開花させているわ。
だからいかに魔力が強くても彼女には敵わないけど、王家からすれば貴族令嬢が聖女である事の方が安定だと思っているのでしょう。
だけど…。
「既に南帝国からエリーゼへの対応を改めないならば考えがあると仰せですわ」
「当然ね。今まで散々エリーゼを見下して来て、いざ必要になったら利用して…その癖未だに間違いではないかと言ってエリーゼの功績を認めないのだから」
一番怒っているのはエリーゼを我が子のように溺愛している姉だった。
「私達は別に王族派じゃないのだから。はっきり言ってもいいのよ?」
「私が中立側を貫いて来たんだが…しかし、これ以上は許せないよ」
温厚な旦那様は派閥のバランスで苦しんでいる事は知っていた。
私達だけの問題ではなく、派閥のバランスが崩れたら政治にも影響を及ぼすわ。
中央が荒れたら地方の領地も影響が及ぶから大人しくしていたけど。
「最悪の事態は考えているし、準備もできている」
「幸いにも宰相閣下も同様にお考えくださっているしね」
私もそのつもりだわ。
何が最善か、そして答えは学園祭ではっきりすると思っていた。
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