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第六章

24.泥棒猫~イズラside

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学園祭が成功すれば、マリアンヌ様の地位は戻る。


そう思ったのにどうして。

何故なの?

全ては完璧だったのに。


「パンデランドの展示、見た?」

「ええ、素敵ね!」

「パンで作ったお城でしょ?他にも一日パン体験があるですって!」


あの嫌味な皇女の妨害も完璧にした。
お菓子を作れないように業者にも金を握らせて完璧だったのに。

なのにどうしてよ!


「ランさん、パンデランドのパンはとっても好評のようですね」


「ありがとうございます」

「素晴らしい案ですわ。ブロード王国の女王陛下は優れたパティシエと聞きますがパンで結ばれたロマンスがありますのよ」


「そうなんですか?」

「ええ、女王陛下はパンに対して強い情熱を持っていらして、パンが大好物だと聞きます」


何ですって?
女王陛下は美食家でも有名だったはずなのにパン?


「でも、女王陛下は大変な美食家だと聞いていますが。真の美食とは見た目の派手さではないとおっしゃられていましたものね」

「ええ、有名な話ですわ。今でこそお菓子を重宝していらっしゃいますが、お若い頃はパンを好まれていたとか。王配殿下との出会いはパンがきっかけだったとも聞いております」


知らない!

そんな話は知らないわ!


「女王陛下はご家族を何よりもy大切にされ、王配殿下を深い愛しておられますので。出会いのきっかけのパンを目玉に使うなんて流石ですわね」

「実は、今回の発案者はエリーゼお嬢なんです」


「ランさん、本当ですの?」

「ええ」


エリーゼですって?


「はい、お菓子よりもパンの方が多くの人に喜ばれるし、お菓子を作るよりもパンならば小さなお子様も親子で楽しく作れるのではとおっしゃられて」

「なんて素晴らしいのかしら…もしかして女王陛下の事もご存じだったのでは」

「そこまでは私には解りかねます。ですが、聡明な我らプラチナ様の事ですから」

「きっとそうですわ。本当に我らのプラチナ様は聡明ですわね」


私の存在に気づきもせずにエリーゼを褒めちぎる。

そんなはずはないわ。
あの女がこんな事を意図するはずがないわ。


これまでだってあの女の功績なんて周りの手柄だっただけ。

無能で出来損ないの癖に。

本来ならばあの場所にいるのはエリーゼじゃなくてマリアンヌ様で、有能な侍女である私は!


私こそがあの女のいる位置に私がいたのに!

どうして他民族のなんの地位もない女がどうして囲まれているのよ。

あの場所は私の居場所なのよ!

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