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第六章
20.流れはこちらに
しおりを挟むテンションを上げて調子乗った私は客寄せは成功したのだけど。
「サンドイッチ追加です」
「チョコクロワッサンとアイスティー追加です!」
私達のお店は嬉しい悲鳴だった。
息をつく暇もなく大繁盛をしたが、やり過ぎたようだ。
お昼の時間を終えたと同時にパンは全て完売となった。
「もう立てませんわ」
「私もです」
労働をしたことがないエカテリーナ様にとっては過酷だったのかもしれない。
「何故あのお二人はピンピンしているんですの」
エカテリーナ様が睨む方向にはパンを売り切って嬉しそうにされるパン屋の老夫婦。
「本当にお歳を召しているのでしょうか」
「流石です。あの二人は…」
「パン職人なる者はこのような重労働を強いられていたとは知りませんでしたわ」
疲れた表情をしながらも何やらメモを取るあたり流石だと言わざるを得なかった。
「けれど、パン工場も好評でしたし」
「そうですわね…というか何時までその毛皮を着ているつもりですの?」
早く脱げと言わんばかりの表情だったが。
「は?脱げないですって!」
「はは…少しばかり脱ぐのが難しくて」
「どうするんですの!この格好で後夜祭にでるのつもりですか?」
「え?後夜祭…あー!」
忘れていた。
学園祭と言えば後夜祭がつきものなのに。
キャンプファイヤーを囲んでダンスを踊るのに。
「今すぐ」脱ぎなさい!すぐに脱ぐのです」
「でも、まだ見回りもありますし。他のお店の宣伝も…」
「これ以上そんな姿でいたら、大問題になりますわよ」
でも、自分では脱げない事を伝えていないから、どうしよう。
「とにかく早くチャックを…あら?これは」
まずい。
速攻でバレてしまった。
「何故、魔法がかかってますの?まさか」
「そのまさかです。自分では脱げません」
「このお馬鹿!何をやってますの!サーシャさん、今すぐこの魔法を解いてください」
「ダメです。魔法の強度が強すぎます。外からも内からもかけられていますし…時間が過ぎるまで解けないようされてます」
「エリーゼ様!貴女って人は!」
さっきまでヘロヘロだったのに復活が早すぎないだろうか。
「聞いていますの!」
「はい!聞いています!」
結局その後私は正座をさせられ。
妖精を正座させた令嬢としてエカテリーナ様も新たな噂が流れるのだった。
ちなみに私達のパン屋さんは学園祭で最高の売り上げを得ることができたのだった。
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