冷遇ですか?違います、厚遇すぎる程に義妹と婚約者に溺愛されてます!

ユウ

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第六章

10.味の解らない客~マリアンヌside

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私の言う通りにしていればいいのよ。


なのにどうして解らないのかしら?


このまま行けば私のお店が一番になるわ。
それであの女は売り上げはまったくなく、恥をかかされるはず。

これで逆転よ。
勝つのは私なんだから。



誰もがこの店のケーキを食べて美味しいと思うはずよ。
見た目も美しく、ケーキの味だって最高なんだから間違いないわ。


私は伊達に社交界に出てないわ。


だから――。


ガシャン!


「え?」


奥のテーブルでフォークを落とす音がした。


「誰よ、マナー知らずだね」


「本当に…つまみ出しましょうか」


「いいわ。私が行くわ」


どせ躾ができていない貴族の子供でしょう。



「まずいー!」

「は?」

「なっ!」


失礼極まりない声を上げたのは老婆と小さな子供が座っている席からだった。


身なりが良く、高位貴族だと思い一番良い席を用意したのに。


最低だわ。


周りの客が一方を見ながらケーキを食べる手を止めながらヒソヒソ話す。

「これケーキじゃない。生クリームが固い」

「これ…大きな声で言うのではありません」

「だって、このケーキなら先に入ったパンデランドの方が美味しかった」


パンですって?
この私が最高のケーキを用意したのにパンに劣るはずがない。


「止めなさい…お店で」

「だって、本当にまずいんだもの」


黙って聞いてれば。
味も解らない癖に好き放題言っているじゃないわよ。


「もういらない」

「お客様」


私は耐え切れずに失礼な子供の前に立つ。


「嫌がらせをするならば、入店をお断りいたします」

「は?」

「先ほどから当店のケーキをまずいと仰せですが。こちらのケーキは最高級の生クリームを使用しております。子供には味が解らないかもしれませんが」

「味が解らないからと言って、このような陰湿な陰湿な嫌がらせをするのはいかがなものかと」


私に続きイズラも咎める。
そうよ、味音痴はこの店に来る資格はないわ。

「うちの孫が味が解らないと?」

「そうです。どの子の方か存じませんが、真面なお菓子を食べた事がないから味が解らないのでしょう」



本当に迷惑だわ。


「随分と失礼ね。確かにこの子が行った事は詫びなければならないけど…個々のケーキは確かに質が悪いわ」

「そんなはずはありません、最高の食材を仕入れて作らせたのです。その証拠に他のお客様は美味しそうに食べておられますわ」


客席を見渡せば誰もが頷くはず。

私が正しいのだから。




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