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第六章

7.マッスル爺さん

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「うぉぉぉ!」


素晴しい上腕二頭筋を出して、筋肉ムキムキで本当のあの仙人さんだ!


「これでどうじゃ!」

バシバシ!


テーブルにパンの生地を叩きつける。
そして何処から取り出したのか杖を取り出し生地を巻き付けクルクル回している。


「何ですのこれは」

「ああ、本当に老人か」

「ええ」


ロミオ様やエカテリーナ様は開いた口が塞がらず、珍しく春麗様の固まっている。


私も頑張らないと!


「やるな妖精」

『もちあたぼうです!』


必死にパンをこねこねする。


そしてパンを寝かせた後に形を作りクロワッサンの完成だった。


「この香り、たまらぬ」

『自分で作るパンですから格別です。待っている間にどうぞ』


パン生地を寝かしている間に作ったのは春麗様に教わったローピンだった。


「ほぉ、これは」

「エリーゼ様!」

前世でも似たような物は見た事がある。
香ばしくてごま油の香りが食欲をそそるし、簡単にできる。


「うむ…美味いな」

『これは南帝国の家庭料理なんですよ。美味しいです』


私も着ぐるみを着たまま食べる。
うん、この味は最高だわ。

そんな中、美味しい香りがやって来た。


「ん?何だ…この素晴らしい香りは」

『パンがやって来たんです』


そう、スコットが今日の目玉商品を運んで来たんだわ。


「お待たせしました!ようやくチョコクロワッサンに、ブリウォッシュが焼けましたよ」

「今、マイスターに沢山焼いていただいてますので」

「どんどん焼いて…って客が来ていたのか?」


スコットに続き、サーシャとリオネル様もパンを運んでくれていた。


「エリーゼ様、パトロールお疲れ様です。どうぞ」

バクン!


「ちょっとエリーゼさん!貴女はもっとお上品に食べられないのですか!このパンはおじさんが丹精込めてつくってくれたのですよ!パンに感謝を…」

ガシッ!


「何です…ぎゃあああ!」


何故かお爺さんがスコットの肩を力強く掴んだ。
何時の間にか頭にバンダナを巻いてサングラスを着けて凶変している。

仙人から、スキンヘッドのスナイパーにチェンジだ。

「小僧」

「何です貴方は!もしかしてパンが欲しいのですか?」

「パンは豪快に食すのが一番だ。ちまちま食べてはいかん」

「はい?」

お爺さんはすこっとから細長いパンを奪いそのままかぶりつく。


「そのパンは丸かじりしたら顎が!」

ベリッ!


「どんな顎ですか!」

そのパンはフランスパン並みに外側が固いから切ってから食べるのにすごい!


「美味い…美味いぞ!こんな美味いパンは初めてだ。素晴らしい技術だ」

「そうです!おじさん達は世界一のパン職人です」


私も大食いの方だけど、お爺さんの胃袋は半端なかった。
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