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第五章

50.見えなかった物~エカテリーナside

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この土壇場で、新しいアイデアを出し。
どんな状況でも諦めず臨機応変に対応する能力は私には真似できませんわ。


「魔力でこの状況を解決できますか」

「えっ…」

「貴方達は、魔力ですべて何でもできるとおもっているようですが…魔力で人の心を動かせますか?このようなトラブルが起きても魔法で何でもできるのですか?」


「いいえ…」

「ですが、彼女はできました」


この時、私は春麗様が私達に対して良い感情を持っていない本当の意味を理解しました。

「我が帝国は軍人国家です同盟国の中には小さな島国も多く、彼等を守る為に多くの騎士を戦場に送り出します。その中には成人していない子供もいるのです」

「子供…」

「そんな彼等に我らができるのは食料や寝床の提供。そして負傷した騎士を救うための物資。ですが魔力で飢えを満たせますか?」

「できません」

「魔力とはそこまで万能ではありませんもの」

全くその通りだわ。
でも、我が国は魔力がなくては国が機能しない。

「精霊は今の所私達に協力的です。ですが、永遠なんて言葉はありません。彼等の協力を失った時どうします?万一エルフが病気になった時、私達は手を差し伸べることができますか」


考えたことがなかった。
私達は精霊との契約をしているけど、万一の事を考えたらと思うとゾッとした。


「精霊は常に人を見ていますわ。この先彼等が私達を見放す事も考えられますのよ。対するエリーゼ様は魔力に頼らず生きる道を模索しておいでですわ」


誰もが考えないことを先導してするエリーゼ様。
常識に囚われなさすぎるからこそ、時には変人のように見られてしまう。


でも、これまで彼女は功績を残して来た。


「私はこの国の考えを否定する気はありませんわ。ですが、魔力がないだけでその人の生き方すら蔑むような足り方。都合の良い時だけ利用している王族、学園のやり方に賛同できないのです」

「はい…」

「エリーゼ様は確かにぶっ飛んだ方ではありますが、我らにも礼を尽くしてくださっています。貴女達と私では習慣も文化も違うのは解ってます」

もしかして、彼等が怒ったのはマナー違反をしたことではない。
以前に無礼を働いた文官が、彼等に歩み寄る姿勢を見せていなかったからなのではないかしら?


「歩み寄ろうとしても心を閉ざしているのはどちらなのか、もい一度考えてください。そしてこれ以上彼女を粗末にするならば、我が帝国に彼女をお迎えさせていただきますわよ」

「は?」


迎えるとはどういう意味なの?

「婚約者のロミオ様も優秀な方ですから、この際宰相閣下もへっとハンティングしたいですわね」


我が国の一番優秀な人材を取られるわけにはいきませんわ。

ああ、頭が痛い。




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