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第五章
42.帝国の皇女様~サーシャside
しおりを挟むお茶会が始まる少し前の事。
「エリーゼ様、春麗様はどんなお方なのですか」
「うーん。私も二回会っただけだし」
「聞けば大変気難しい方だと伺いまして」
私は平民故に、帝国の皇族の方とお茶を一緒にするのに不安があった。
生徒会の幹部だとしても機嫌を損ねないか、私がいることで悪い印象を抱かせてしまったらと思ったのだけど。
「春麗様の事は詳しくないけど、優しい人よ」
「優しい?」
「それでいて、とっても一生懸命で祖国を、国民を守ろうと必死な人」
断片的で良くわからなかった。
エカテリーナ様もロナウド様だって国の為に頑張っているのに。
「何ていうか、王族や貴族はどうしても自分達の視点でしか見ないじゃない。でも、春麗様は家柄や身分だけでなくその人自身を見てくれる人よ。私が色々しくじったのに、評価してくれるし」
「そう…なんですか」
「思う所は色々あれど、私はあの方が好きだわ」
エリーゼ様は言葉で伝えきれない部分は多いけど、感が鋭い。
理論ではなく、好きだと思ったら一直線な所もある。
でも、これまで間違いはなかった。
「春麗様は身分ではなく実力のある人を認める人だし、魔力至上主義を良く思ってないのかも」
「それは何故です?」
確かに私も生まれや血筋に魔力で評価するのは良くないと思ったけど。
魔力があればできることがあるのに。
「魔力に頼り過ぎるのが嫌なのかもしれない。だって、魔力ってそこまで万能じゃないし」
「あっ…」
私は大事な事を忘れていた。
確かに私のように強い魔力を持っている人は魔力を維持できる。
でも、甥と共に魔力が弱まって行くのは致し方ない事だった。
「魔力には限りがあるけど、錬金術は人の手で生み出されたから資源さえあればできるし」
「確かに…南帝国は軍人国家でもあるからでしょうか」
「物資を作り出すのは大変なのかもしれないわね」
私はこれまでエリーゼ様が間違った事をしたことないと思っている。
選択を間違えたりもしたことはあれど、人を見る目を持っていると信じている。
だからこそ、春麗様の発言に耳を傾けた。
エカテリーナ様は学園を王族を侮辱されたと思っていらしたけど、侍女の方の言葉も正論だった。
エリーゼ様は学園に都合よく利用されている。
王族にもだ。
評価を受けて白金ランクになったけど。
結局は都合の良い様に使っているとも思えたからこそ私は春麗様の真意を知りたいと思った。
この人は、エリーゼ様と同じような理想を持っているんじゃないかと。
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