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第五章

41.価値~春麗side

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生徒会のお茶会はなんというか普通だった。
エリーゼ様と懇意にしておられるご友人が催し、尚且つ国一番の貴族の鑑と評価される公爵令嬢が持て成すと聞いて少し期待していたけど。


何とも普通だわ。
こんなの祖国の下級貴族でもできるわ。

しかも聞けばエリーゼ様は魔力が原因で生徒会の役員に選ばれなかったと聞く。

本当にくだらない理由です事。
魔力だけで食べて行けるのかしら?魔力で民の貧困を救えるのかしら。

魔力で政治ができるのかしら?
魔力に頼り過ぎる事の危うさを理解していないわね。

「エリーゼ様は生徒会の役員ではないのに、何故学園に貢献しているのでしょうか」

「それはプラチナ様だからですわ」

「学園の最高ランクは黄金とされていますが特別に白金が存在します。光の魔力の保持者以上に影響力があり、学園を陰から支える役目も担っています」

「そうでしたか」

何の権限もなく影響力だけね?

「ようするにエリーゼ様は学園で慈善活動を行われているのですね。素晴らしいですわ」

「えっ…」

「慈善活動」

私の言っている意味を理解していないようですわね。

「ええ、表には決して出ずに手柄をすべて横取りされても、尽くすなんてなんて素晴らしいのでしょう」

「横取りなど…!」

「翡翠、言葉を慎みなさい」

「失礼しました」


笑顔でさらりと言った言葉に皆さんの表情が真っ青になる。

だけど彼等は知っているのかしら?
一年生の間でエリーゼ様の噂がどのように囁かれていたのか。


「あの、翡翠さん」

「はい」

「先ほどおっしゃられた言葉は、学園内で噂があるのでしょうか」


沈黙を守る中、一人発言をして来たのは光の魔力の保持者の少女だった。


「確かにエリーゼ様は正当な評価を受けていないのは事実です。言い方は悪いですがエリーゼ様を利益に使用しているのは確かです」

「サーシャさん!貴女…」

「落ち着くんだエカテリーナ」


これは意外だわ。
大人しいと思いきや、ちゃんと自己主張ができるようね。


王族よりな考えを持つクライア公爵家のご令嬢。
他の令嬢よりは優秀ですけど、王族派故に翡翠の発言は気に入らないようですわね。


「申し訳ありません。翡翠は貴族令嬢でしたが、我が帝国の優秀な官僚でもございます故に…我が国は家柄はそこまで優先されず能力のある方を最優先されるのです」

「それは…」

「素晴らしい!では貴族が独占して政治をしないと言う事ですね」

私の言葉に身を乗り出す眼鏡をかけた男性生徒。
彼も思う所はあるようだわ。


「スコットさん、黙っていてくださいな」

「いいえ、黙りませんよ。私はロナウド様を慕ってはいますが、今の我が国の政治は時代錯誤だと感じています。エリーゼさんがもっと評価されるべきなのに未だに低姿勢であることは由々しき事態です」

「あら?腓骨のある方ね」

サーシャさんと言い、スコットさんと言い。
平民でもこうしてちゃんと意志を貫ける方がいたのは驚いたと同時に少しだけ安堵したわ。


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