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第五章
9.可愛い妹と憎い姪~シェリアside
しおりを挟む何時も全力投球。
幼い頃から一生懸命で、少し感情が前に出る事を咎められながらも。
私達を守るべく強くあろうとした。
強くなくてはならなかったジリアンは、ずっと戦い続けて来た。
第三者はこの子を悪く言う者もいるけど。
私はジリアンの不器用さが愛おしく感じるのは今も変わらない。
「エリーゼはちゃんと解っているわ」
「お姉様…」
「貴女の娘でしょ?まぁ、貴女が若い頃よりもずっとやんちゃだけど」
「はぁー…」
心労が多いジリアンは精神的にも苦労が多いかもしれない。
でも、その苦労を抜きにしても。
エリーゼと一緒にいる時のジリアンこそが本来の姿だった。
社交界で愛想笑いをするよりもずっと生き生きしていると思うわ。
「エリーゼだけでも、守りたいのです」
「解っているわ。もうマリアンヌはダメだもの」
「はい」
ここまでエリーゼに過保護になる理由は他にもある。
二年後、マリアンヌは正式にトリアノン公爵家か籍を抜く事が決まっている。
「まさか…あの子があんな恐ろしい事をしていたなんて」
「ジリアン」
「妹が姉を殺そうだなんて…そんな恐ろしい事を」
涙を浮かべながら震えるジリアンを思うと居た堪れない。
ずっと私達を守ろうと気を張っていたジリアンからは想像できないのだろう。
「そんなにエリーゼが気に入らなかったのでしょうか。魔力がないから…少し他の令嬢よりも遅れていたから?得意な物が違うだけではありませんか」
「ええ、そうね」
宮廷貴族と領地を持つ貴族は違う。
責任の重さもだ。
エリーゼは辺境貴族として振る舞い、領主の何たるかを理解している。
幼少期に私の元でスキルを磨き今がある。
その一方で礼儀作法が苦手だったのは環境もある。
「兄弟は違っていて当たり前です。互いに足りない物を補うべきなのに…物心つく頃はエリーゼがどれだけマリアンヌを可愛がっていたか」
「ええ」
「エリーゼの気持ちを思うと辛くてなりません」
マリアンヌが引き起こした二年前の事件。
王家はもみ消そうとしたけど、スチュアート伯爵が調べてくださった。
ナタリーもこっそり調べていたそうだ。
でも、なんとなくマリアンヌを疑っていたのは私だけじゃない。
だっておかしいでしょ?
姉が死にかけてようやく意識を取り戻したのに、自分の身代わりにスチュアート家に嫁がせようとした。
まるで最初から用意されていたかのように。
前々からあの子の言動には目に余る物が多かった。
「そして先日、エリーゼが階段から突き飛ばされそうになったと知り…私は」
「ジリアン、それ以上は」
「マリアンヌを憎いと思ってしまったんです。我が子なのに!」
興奮しながら言葉を放つジリアンは泣き崩れた。
見ているのが辛くなるほどのに、同時にマリアンヌに対して強いを憎悪を抱いていしまった。
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