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第五章
7.国を超えて~ジリアンside
しおりを挟む我が国の王族だけでは飽き足らず他国まで。
「ああ…」
「ジリアン!しっかりしなさい」
「お姉様」
南帝国の上皇陛下から直筆の手紙と贈り物が届き、何かの間違いと思ったけど。
「まさか、神殿で上皇陛下とお友達になるなんて、流石だわ」
「感心しないでください…うっぷ」
「ジリアン、興奮したら血圧が…」
既に血圧計は壊れているのではないかしら?
数値がありえないわ。
「ああ、あの子はどうてこもう、行く先々で」
「ジリアン、そこまで神経質になる必要はないだろう?陽南国の上皇陛下は懐が深いと聞く。若い頃から苦労され、動乱の時代を生き抜いた方故にね」
「上皇陛下は、他の大陸でも一目置かれる方なのです…あの方を怒らせれば祖国は吹き飛ぶ程の財力、兵力、権力をお持ちなのです。挙句に…陛下とは仲が良くありません」
「まぁ…陛下も少々感情的というか」
旦那様は安易に考えすぎではないのかしら?
今まではいい方向に進んだけど、陛下は清の国に対して敵対心は持っていないけど、警戒している。
なんぜ、清の国は特殊な魔力を持っている。
しかも四神が背後にいるのだから迂闊に手を出す事は出来ない。
「しかし手紙を見る限り、そこまで心配することはないようだけど。美味しい梅干しと、昆布の佃煮をありがとうと」
「梅干し!若芽ぇぇぇ」
「ジリアン!叫んではさらに血圧が…」
「ああ、美食家で、世界中の珍味を食べつくしている方に梅干し。しかも売り物にならない海藻で作った佃煮等。領地の貧しい漁師達が食べている物を」
なんて事を。
清の国は礼儀に厳しいと有名だわ。
以前にも官僚が清の国の皇族を接待したけど、文化の違いで彼等を怒らせてしまい大変な事になってしまった。
幸いにも文林陛下が間をとりなしたけど、陛下に対する評価は下がり。
他国の文化の交流の場と言いながらちゃんとり乖離しきれていなかったのだと冷ややかな視線と手厳しい言葉を浴びせられてしまったと聞く。
後から聞いた話では、異文化の違いで誤解が重なり起きてしまったのだけど。
それ程に清の国と交流をするのは難しいのだから。
「子供の相手ということで大目に見てくださっているのだろうけど」
「あら?」
「何ですのお姉様」
「デートのお誘いのようね」
私は胃が痛くて腹部を抑える。
とりあえず。
「安定剤を今すぐ刺してください!」
「ジリアン落ち着きさない!」
もう、寝込んでいる暇なんてないわ!
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