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第五章

1.妖精と少年

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エリシオン王国には多くの神話が存在する。
その中でも一番有名なのは賢者と妖精の物語だった。


元は実話で神話にも似たような話がある。

妖精が存在する国には稀に神の愛しい子と呼ばれる者が存在する。

神様から愛され、特に愛しい子の中で妖精と波長がぴったりで心を通わせた人間は加護を得ている。

その最初の人が我が国の大賢者様だった。
かつては魔力はそれ程強くない、治癒師だったらしい。

神様を信仰し、平和を願う優しい人柄の少年はある日。

神殿の裏庭で倒れている妖精を拾い、傷の手当をした。
聞けば人間に襲われ、命からがら逃げて来たと聞き、胸を痛めた。


妖精も、命の恩人であり、心優しい少年を慕った。
二人が心を許すのに時間はかからず、強い信頼関係が芽生えたが。

妖精を捕らえようと企てる人間達が襲い掛かって来た。

少年は、泣く泣く妖精と別れる事にした。


「どうか君達は静かに暮らしておくれ。これは僕の魔力を込めた魔石だ。どんな傷でも治癒してくれる」

「嫌だ!離れたくない!」

妖精は少年に抱き着きながら離れる事を拒んだが、既に人間達は妖精を生け捕りにしようとしていた。

「ごめんね、僕が君達を守って上げられないばかりに…許して」

「やだよ!」

仲間に腕を引かれながら少年と涙を流した。


「大きくなったら会いに行くから…僕が大人になったら必ず」

「約束だよ!」


二人は引き離され、長い時間離れ離れになった。
その後、妖精を捕らえようと命じた一人の貴族のお姫様は唯一妖精の居場所を知っている少年を問いただした。


「妖精は何処!今すぐ場所をいいなさい」

「もう消えてしまった」

「嘘をつくな!」


癇癪を起し、鞭で少年をいたぶり、拷問をしてなんとかして吐かせようとしても少年は耐え続けた。


二か月以上も拷問を受け、ようやく解放された時には少年は光を無くしてしまっていた。


辛い拷問の日々で失明してしまったのだった。

その後森に捨てられた少年だったが。


その森は妖精が隠れ住む森だった。


あの時の小さな妖精は大人になり、少年との再会を喜ぶも。
目が見えなくなってしまい、解らなかった。


妖精はとても悲しみ、同時に怒りを覚えた。

誰よりも優しく人々の為に祈る清らかな心を持った少年を傷つけ侮辱した事実は許せないと。


「お願いだ。誰かを傷つける事はしないで」

「どうして!あいつ等を同じ目に合わせてやる!君にこんな酷い事をしたんだ!」

「僕は誰かが悲しむのは見たくない。酷い人はいるけど…でも、優しい人もいるんだよ」

失明した少年は何処までも優しい心を持ち、知識人として国に尽くしていた。

妖精は不憫に思い、少年に加護を与えた。

後に少年は知識と妖精の加護により、国を救う為に様々な改革を行った。


後に少年は仲間を得た後に新たな国を作ったのだ。


そしてその国は千年以上栄え、海に囲まれた国は三人の妖精に守らたのだった。


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