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第四章
32.ヒント
しおりを挟む私の悩みとはお構い無しに時間は過ぎて行く。
まず先に片付けないのといけない問題は、学園祭の企画だった。
学園祭とは、生徒達の将来がかかっている。
それずれのスキルを見せて、その場で貴族達に後ろ盾になって貰う者もいれば、王宮勤めのアピールをする場でもある。
白金の私はお客様を招き、王立魔法学園の素晴らしさを知ってもらうと同時に、高位貴族や他国の貴族に寄付をしてもらえるように売り込まなくてはならない。
学園長曰く。
「我が校に他国からの留学生が集えば学園のイメージアップにもなる。何より生徒達の未来を切り開ける。その為にも頼みましたよ」
「あの…そんな代役を生徒。しかも生徒会ではない私に任せて良いのですか?」
「本来は生徒会会長の役目でもあるのだが、白金はそれだけ特別なので。その代に白金が現れた時は異例として任せています。特に今回は銀食器を気に入った他国の代表がいらっしゃるので」
あれか!
私が考えたフォークをやたらと気に入って携帯している変わり者の王族!
「我が校の今後の為にも良い企画をお願いします」
「はっ…はい」
拒否権なんて最初からないじゃないか。
ゲストを招くのに何をすればいいか、私が考えなくてはならないが。
「何がいいんだろう」
生徒ができることは限られているし、校門の飾りつけに関しても予算がある。
何より生徒のスキルを活かした物が良いだろうし、学園に援助してくれる貴族や商人は高齢だった。
そんなに人に見てくれだけの派手さは逆効果。
「うーん、お年寄りが好む物で尚且つ楽しめる物」
部屋で頭を抱えていると。
「お腹すいた」
どんな時もお腹が空くもので腹部をさすると香ばしい香りがする。
「お嬢様、よろしければおやつを」
「わぁ!流石ラン!」
香ばしい香りとこれは葱だった。
「ローピンと申します」
「すごくておいしそう!」
パリパリのパイに目を輝かせ一口食べる。
「わぁ!すごく美味しい」
「祖国では庶民も食べるんです。材料も少なく済みますし」
ランの故郷のお菓子は本当に美味しいのが沢山だ。
前世でも三代美食と言われる中華料理は私の大好物でもある。
「うーん、このパリパリ感が最高だね」
「ありがとうございます。お茶もどうぞ」
「わぁ!工芸茶?すごく綺麗」
目で見て楽しんで飲んで楽しめる。
やっぱり美味しい物は心の栄養分だわ。
ん?
待てよ?
「ラン、最高だわ」
「はい?」
学園祭の企画が決まった。
私ができる御もてなしなんてこれしかないわ!
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