上 下
149 / 311
第三章

33.最後の決断sideジリアン②

しおりを挟む




留学する基準はある程度の学力があるか。
他国でもやっていけるか等適正試験を受けて受かればいい。

しかしマリアンヌは国内ではそれなりにできても。
他国では通用しなかったと判断された。

そうでなくとも発展途上国の貧しい国を見下し、異文化を馬鹿にしていた。

我が国も元は他民族が別々の領地を持ち、戦争を繰り返しながら一つの国になったのに。

留学を支援する教師や貴族達は、そんな教養もないのか。
あったとしても明らかな差別をする者を留学生として受け入れれば、問題が起きると判断した。


それでも、試験を受けた結果で判断したのだが。


試験の結果は散々たるものだった。
まずは語学が酷く、試験官を呆れさせてしまった。

次に音楽、芸術も酷かった。

与えられた服装を選んで、面接を受けるのだが。
この試験は自分で服装をコーディネートしなくてはならない。


しかし、マリアンヌはその試験でやたらとレースのある派手な装いをした。


そこで美的センスと物の価値が解っていないと見なされ、あげくにその場にそぐわない装飾品を選んだと減点を受け恥を晒しただけだった。



留学先では適正試験をすべて落としてしまい、他の修道院では受け入れ拒否となった。
カトレア修道院は国内でも名門でもあるので、そこを断れれば身分が低く国内でも問題を起こした令嬢か老女が入る修道院しかない。


いくらなんでもそんな場に娘を放り込むわけにもいかず、邸内で教育を見直すしかないと思った矢先。

マリアンヌに王立魔法学園を受けるようにと王命が下さったのだ。


魔力があり高位令嬢ならば魔力を制御する為にも通わなくてはならない。
魔力は術者の心に反応するので、思春期の内に魔力のコントロールができるようにならなくてはならない。

その為にも王立魔法学園内では魔力が暴走した時の対策もされている。


「あの子を王立魔法学園に通わせるのは危険だわ」

「陛下は何故…このような事を」


お姉様もマリアンヌを学園に通わせることを反対していた。


「学園でようやく認められるようになったエリーゼが…マリアンヌが何かしなければいいのだけど」

「お姉様…」

社交界で爪はじきにされたあの子は学園では穏やかに暮らしていると聞く。
ちらほら不穏な噂も並行して聞くけれど、些細な事だし気に留めなかったのだけど。


マリアンヌが介入したら…。


「恐ろしく不安だわ」

これまでは幼いからと許された。
でも、学園に入ったら子供だからと許されないわ。


「これが最後になるかもしれない」

「ジリアン…」

義兄も迷惑をかけ続けていた。
これ以上周りに迷惑をかけるわけには行かない。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話

甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。 王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。 その時、王子の元に一通の手紙が届いた。 そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。 王子は絶望感に苛まれ後悔をする。

全てを諦めた令嬢の幸福

セン
恋愛
公爵令嬢シルヴィア・クロヴァンスはその奇異な外見のせいで、家族からも幼い頃からの婚約者からも嫌われていた。そして学園卒業間近、彼女は突然婚約破棄を言い渡された。 諦めてばかりいたシルヴィアが周りに支えられ成長していく物語。 ※途中シリアスな話もあります。

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈 
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~

つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。 政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。 他サイトにも公開中。

婚約者に冤罪をかけられ島流しされたのでスローライフを楽しみます!

ユウ
恋愛
侯爵令嬢であるアーデルハイドは妹を苛めた罪により婚約者に捨てられ流罪にされた。 全ては仕組まれたことだったが、幼少期からお姫様のように愛された妹のことしか耳を貸さない母に、母に言いなりだった父に弁解することもなかった。 言われるがまま島流しの刑を受けるも、その先は隣国の南の島だった。 食料が豊作で誰の目を気にすることなく自由に過ごせる島はまさにパラダイス。 アーデルハイドは家族の事も国も忘れて悠々自適な生活を送る中、一人の少年に出会う。 その一方でアーデルハイドを追い出し本当のお姫様になったつもりでいたアイシャは、真面な淑女教育を受けてこなかったので、社交界で四面楚歌になってしまう。 幸せのはずが不幸のドン底に落ちたアイシャは姉の不幸を願いながら南国に向かうが…

【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?

つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。 彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。 次の婚約者は恋人であるアリス。 アリスはキャサリンの義妹。 愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。 同じ高位貴族。 少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。 八番目の教育係も辞めていく。 王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。 だが、エドワードは知らなかった事がある。 彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。 他サイトにも公開中。

処理中です...