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第三章
33.最後の決断sideジリアン②
しおりを挟む留学する基準はある程度の学力があるか。
他国でもやっていけるか等適正試験を受けて受かればいい。
しかしマリアンヌは国内ではそれなりにできても。
他国では通用しなかったと判断された。
そうでなくとも発展途上国の貧しい国を見下し、異文化を馬鹿にしていた。
我が国も元は他民族が別々の領地を持ち、戦争を繰り返しながら一つの国になったのに。
留学を支援する教師や貴族達は、そんな教養もないのか。
あったとしても明らかな差別をする者を留学生として受け入れれば、問題が起きると判断した。
それでも、試験を受けた結果で判断したのだが。
試験の結果は散々たるものだった。
まずは語学が酷く、試験官を呆れさせてしまった。
次に音楽、芸術も酷かった。
与えられた服装を選んで、面接を受けるのだが。
この試験は自分で服装をコーディネートしなくてはならない。
しかし、マリアンヌはその試験でやたらとレースのある派手な装いをした。
そこで美的センスと物の価値が解っていないと見なされ、あげくにその場にそぐわない装飾品を選んだと減点を受け恥を晒しただけだった。
留学先では適正試験をすべて落としてしまい、他の修道院では受け入れ拒否となった。
カトレア修道院は国内でも名門でもあるので、そこを断れれば身分が低く国内でも問題を起こした令嬢か老女が入る修道院しかない。
いくらなんでもそんな場に娘を放り込むわけにもいかず、邸内で教育を見直すしかないと思った矢先。
マリアンヌに王立魔法学園を受けるようにと王命が下さったのだ。
魔力があり高位令嬢ならば魔力を制御する為にも通わなくてはならない。
魔力は術者の心に反応するので、思春期の内に魔力のコントロールができるようにならなくてはならない。
その為にも王立魔法学園内では魔力が暴走した時の対策もされている。
「あの子を王立魔法学園に通わせるのは危険だわ」
「陛下は何故…このような事を」
お姉様もマリアンヌを学園に通わせることを反対していた。
「学園でようやく認められるようになったエリーゼが…マリアンヌが何かしなければいいのだけど」
「お姉様…」
社交界で爪はじきにされたあの子は学園では穏やかに暮らしていると聞く。
ちらほら不穏な噂も並行して聞くけれど、些細な事だし気に留めなかったのだけど。
マリアンヌが介入したら…。
「恐ろしく不安だわ」
これまでは幼いからと許された。
でも、学園に入ったら子供だからと許されないわ。
「これが最後になるかもしれない」
「ジリアン…」
義兄も迷惑をかけ続けていた。
これ以上周りに迷惑をかけるわけには行かない。
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