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第三章
31.願書
しおりを挟む何時もになく不機嫌そうな表情をされたエカテリーナ様が持ってきた書類を見せられた。
「これは…」
「来年の春に入る予定の方達ですわ」
並べられたのは願書のようだった。
その中に見知った人がいて思わず驚いた。
「ロッテ…」
「知り合いでしたの?」
「ええ、私が幼少期に行儀見習いとして修道院に身を寄せていた頃に知り合ったんです」
「彼女は来年の特待生ですわ。魔力もありますし成績優秀ですの」
そうか、ロッテは頑張ったのね。
実家はそこまで裕福ではないから、独学でも勉強をしていたし。
きっとすごく頑張ったのね。
ふと、もう一枚の願書が目に入る。
「あら、マリアンヌも」
来年はマリアンヌも入るんだ。
てっきり留学するのかとばかり思っていた。
「これが悩みの種ですわ」
「はい?」
悩みとはどういう事だろうか?
マリアンヌの魔力なら入学条件を満たしているし、学園生活も問題ないと思う。
私のように風当たりが強いわけじゃないし。
「ああ、この方ですか。確かに大問題でしょうね」
「スコットまで?」
二人共同じ表情をしている。
どうしてそんなに気をもんでいるのだろうか?
優秀な生徒や魔力の高い生徒が入学するのは学園側からすれば喜ぶべきだ。
社交界の華としてもてはやされているマリアンヌが入学すすれが影響されて芋蔓形式で入学する生徒は少なくないはずなのに。
「エリーゼ様、貴女は本気で言ってますの…むぐ!」
「エカテリーナ様、黙っててください。エリーゼさん、彼女は団体行動ができない方です。そんな方が入学したらどうなるか…温室育ちですし…下々と共に生活は難しいと」
「うーん」
私とは異なり幼少期を王都で暮らしたからこそ、ある意味典型的なお嬢様なのは否めないけど。
修道院で団体生活を送った後に寄宿学校に入れられているから、学園生活も大丈夫な気がするんだけど。
それに許可を取れば侍女の動向も許されているから問題ない。
「大丈夫と思うけど」
「「大丈夫じゃありません!」」
スコットはあの子を苦手だと言っていたけど、社交界で何度も顔合わせをしてるエカテリーナ様は何故こうも真っ青な表情をして猛反対をするのだろか?
その理由を私は知るはずもなかった。
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