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第三章

29.成長の早さ~ロミオside

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淑女科の試験の結果は、エリーゼが一位だったらしい。
これまでエカテリーナ嬢がダントツ一位だったが、追加点が大きいと聞かされた。

淑女の教育者とも名高い先生方かから太鼓判を押され、冬のお茶会の責任者として選ばれたのだ。


来年留学する生徒を招いて接待するのだが、毎年女子生徒の中でも特に優秀な生徒が選ばれている。


学園内では一切の権力は通じないが、在学中に地位を上げるのはランク。
そして在学中の功績によるものだ。

お茶会のホスト役や、留学生のお世話係は大変名誉な事だった。


その代表にエリーゼが選ばれることは、学園側が彼女を認めたと言っても過言ではない。



「素晴らしいですわ。流石お義姉様」

「当日のお茶会には夫人会の役員の方々もいらっしゃいますものね」


シルビアは浮足立ち、ジュリアも興奮していた。


「エリーゼはコツコツタイプの秀才型だからな。それに独創性があるからな」

「自分で考えてどうしたらいか探求しているのだろう。ますます興味深い」

「何より天才よりも努力してスキルを得た事は好感度が高いのだろう。我ら騎士も才能よりも鍛錬だからな!」


リオネルは無視するとして、ロベルトとスザンヌの言葉には説得力がある。
天才とは聞こえがいいが、実の所一つの物を究めなくては評価されないし、他者には理解されない。

だが努力ですべてを補えたのなら話は別だ。


劣等感に苛まれ苦しんでいる者にとって、才能がなくとも努力で道を開けたのならば、他の生徒にも希望が見出せる。


エリーゼの行動は多くの生徒に活力を与えることになるだろう。


「本当に素晴らしいです。エリーゼ様はもっと評価されるべきだと思ってましたから」

「しかし、そうなると君はいいのか?」

「え?」

現在新入生代表であるサーシャの立場はどうなるか。

「私は、特には…」

「しかし、君が首席で代表であることは、君自身を守る事に繋がるんだぞ」

サーシャは学力、魔力ではトップだが。
万一、エリーゼがサーシャ以上に評価されれば立場が悪くなる。


「本当にお前は馬鹿で愚かだな!」

「スザンヌ、お前は俺に何の恨みがあるんだ」


「光の魔力を持つ者はその代で一人しかないのだ。その程度で地位が脅かされる者か。それに総合成績を比べればエリーゼはエカテリーナ嬢には程遠いぞ」

「容赦がないですわね…でもそれぞれ得意分野がありますし」


ジュリアの言葉は正しいかもしれない。
そもそもすべてを持っている者などいないのだから。

「しかしそう考えると、エリーゼは王のようだな」

「は?」

「才能に恵まれなくとも、才のある者を誑し込んでいるのだからな!その内国を乗っ取ってしまうかもな」


ロベルト…。
冗談に聞こえないのだが。


「サーシャ、このケーキ美味しい!また腕を上げたのね」


そしてその本人は、サーシャの新作お菓子に心を奪われている。


もう少し自覚をして欲しいのだがな。


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