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第三章

19.私は正しい~マリアンヌside

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無理矢理修道院に入れられ、休みの日はお祖母様の住まう別宅にて囚われの身の私は、辛い日々を送っていた。

朝早く起こされ、訳の分からないお祈りから始まり、意味のない古臭い宗教の勉強に土いじりをさせられる。

まるで灰かぶり姫だわ。
最後は王子様が迎えに来る物語だけど、私がこんな真似するなんてありえない。

身分が低い者がするようなことを私がしなくてはならないんて!


「もうやってられないわ」


スコップを放り投げると土が飛び散り、服が汚れてしまう。


「もう最低」


気分は最悪だったが。


「痛い!目に砂が…うっ、うわぁぁぁぁん!」

「何よ?大袈裟ね!耳元で騒がないでよ鬱陶しいわ」

傍で土いじりをしていた同じく修道院で行儀見習いをしている子供が泣き出す。

目に土が入ったようだけど、声を出して泣くなんてみっともないわ。
真面な教育を受けていないのね。


「何事です!」

「院長先生!マリアンヌがリロを…」

もう一人の地味な女が告げ口をする。
私が悪いんじゃないわ、邪魔な所にいるのが悪いし、汚れた手で目をこすった所為でしょ?


「リロ、顔に傷が…スコップを投げたんですか」

「私が投げた場所にたまたまいただけで…」

「近くに人がいるのに投げるなんて何を考えているのです!目を汚したらどうするのです?間違って失明したら!」

「大げさですわそんなの…怪我をしたら病院に行けばいいではありませんか?ああ、貧乏人は医者にもかかれなかったかしら?」


どうして院長先生はこんなことぐらいで騒ぐのかしら。
別にこんな子供がどうなってもいいじゃない?

一応預かっているから責任があるのかしら?


「マリアンヌ、最低だわ。なんて酷い人なの?」

修道院で一番古参と言われる地味で冴えない貴族令嬢のロッティー・アーメンドが私を睨む。


「こんな小さな子になんてことをするの!エリーゼは絶対にこんな酷い事をしなかったわ!」

「はぁ?」

お姉様と面識があるらしく、何かにつけて私に対して不満そうな顔をする。


この私をお姉様と比べる気?
なんて無礼なのかしら?


「ロッティー、お止めなさい」

「ですが、彼女の横暴さは目に余りますわ。修道院の妹を苛め、傷つけ修道院の規律を乱す事ばかりではありませんか!」

「規律?私が何をしたって言うの」

「自覚が無いのね。エリーゼだったら…」


領地に来てから馬鹿の一つ覚えのようにお姉様はああだとか、こうだとか煩い。

私は何も悪くないわ。
大体高位令嬢がこんな下働きのような真似をするなんて許されないのよ?

お姉様が間違っているのよ。

私は悪くないわ。


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