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第三章
16.悪役令嬢のデレ
しおりを挟むエカテリーナ様は可愛い人だった。
以前から手厳しさはあれど意味のない事はしない。
私が色々と心もたないから社交界でも私に厳しかったのかもしれない。
彼女は王族派筆頭の公爵家のご令嬢で、第三王子殿下の婚約者の肩書がある。
常に他人に厳しく、自分にも尚厳しかったのだろうし。
「エカテリーナ様、これから交流を深めましょう。その為にデートしましょう」
「何故私と貴女がデートしなくてはならないのです!」
「楽しそうだね。僕の仲間に入れて欲しいな」
「いいですよ。どうぞどうぞ!」
「貴女!」
私が思うにエカテリーナ様はロニー様が大好きだ。
ゲーム上でロナウドルートでヒロインと結ばれた後は潔く身を引くも、感情を隠していたのだろう。
「君達がそんなに仲が良かったなんて知らなかったよ」
「殿下、誤解で…」
「そうなんです。体調の悪い私に声をかけて、お部屋にてお世話をしてくださったんです」
「エカテリーナは医療知識があるからね…でも、君は率先して自分から他人を看病するなんて。知らなかったよ」
普通は使用人に任せるぐらいで、知識だって専門家程あるはずはない。
けれど、エカテリーナ様は薬学の知識も本物だった。
「君の薬学の知識のおかげで僕は安心して学園に通える。感謝しているよ」
「えっ…」
「それに僕の大切な友人と大切な婚約者が仲良くしてくれて嬉しいよ」
うん、本当に平然と言うね。
ロミオ様も天然だけどロニー様が一番すごいかもしれない。
「大切…私が…嘘」
ああ、本人はずっと政略結婚と思っていたのか。
だからこそ、嬉しいのだろう。
「エカテリーナ様は芸術に精通しているんですね。お部屋で沢山の芸術品を見て驚きました」
「彼女の母君が隣国の皇女殿下だったからね。他国の文化にも詳しいんだ」
「我が国でももっと他国の文化を取り入れればいいと思うんですが、医療に関しては特に」
以前から思っていたが、この国は薬学に関しては最先端だが、他の医療が乏しい。
いうなれば私のいた世界では漢方医と蘭方医の違いだ。
双方の医療技術があればどれだけ良いか。
「薬で治せる病には限度があります。魔法で治療できるの傷のみで病まで治すのは難しいとも」
「ああ、治癒師で治せる病は限りがあるし、治癒師の力に頼り過ぎると、体に異常がでると言われている」
人間の持つ治癒力を奪ってしまう可能性もあるし聖魔法を使える人は少ないのだ。
「医療こそ、国を救う唯一の方法だと思っている」
「いずれ、医療の道も開かれますわ。この私が実行に移して見せます」
「頼もしいよエカテリーナ」
「はっ…はい」
真っ赤になって可愛いな。
公の場でツンツンしているけどデレる悪役令嬢は可愛いな。
デレ最高!
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