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第三章

1.お姫様の私~マリアンヌside

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私は生まれながら高貴な存在だった。
公爵家に生まれ美しい容姿に素晴らしい加護を得て、誰からも愛されるお姫様だった。


両親は政略結婚であるけど仲が良かった。
弟のハイネは神童と讃えられる程優秀だったけど、唯一不満があるとすれば出来の悪い姉の事だ。


容姿はお母様に似ているけど、何もかもダメな人。
物事もはっきり言わず、お茶会よりも平民達が集まるサロンに通うし、聖書を好むなんて。

服装のセンスも悪い。
生まれつき加護を持たない所為で我が公爵家の恥だと言われていた。

私もお姉様が恥ずかしくて仕方なかった。
だから夜会に参加して欲しくなかったけど、どうしても大事な夜会やお茶会は参加しなくてはならない。


王族主催のお茶かいなんて特にそうだった。

どうせ相手にされないだろうと思っていたから参加しなければいいのにと冗談半分に言えば情けないお姉様は笑っていた。


貴族令嬢としての誇りもなく、同年代の令嬢に馬鹿にされてもヘラヘラ笑ってイライラした。
昔はそこまで気にならなかった。

でも成長するうちにお姉様は貴族令嬢としてあるまじき行動ばかりしていた。

こんな人が姉じゃ私も笑いものにされる。

「マリアンヌ様は優秀でいらっしゃるのに…どうして」

「ねぇ?」

私の友人も毎日のようにお姉様はあまりにも奥ゆかし過ぎると言っていたわ。

もしかしたら血が繋がってないのではないか?

でも、残念な事にお母様の目の色はお母様の色譲りだし。
養女である可能性は限りなく低い。


養女で他人だったら良かったのに。

公爵家に相応しくないみにくいアヒルの子のような姉。

お姉様さえいなければ完璧なのに。


どうして?


「マリアンヌ、エリーゼは君の姉だ。悪しざまに言うのは止めなさい」

「私は何も悪い事をしてませんわ。お姉様の出来が悪いのがいけないのよ」

そう。
ダンスだって礼儀作法も人並みにこなすのに時間がかかった。

語学の勉強をする暇があれば美しくなる努力をすればいいのに。

何も解っていない。

「人には得手不得手がある。エリーゼは領主代行の勉強をしてくれているんだ」

「跡継ぎじゃないのに馬鹿だわ」

「エリーゼ、そんなことを言うんじゃない。君はどうして相手の気持ちを考えずに物を言うんだい?エリーゼなら相手が傷つくようなことは言わないよ」

「傷つくような言葉を言ってません。事実を言っただけです」

別にヘラヘラ笑っているお姉様が何をしても傷つかないわ。

道化師のような人だし。


なのにお父様はどうしてお姉様を庇うの?

どうして私を一番に見てくれないの。



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