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間章
31.お食事会
しおりを挟む私の立ち位置って何だろう?
モブの悪役令嬢でも、もう少しマシな見せ場はないのか。
「さぁ、エリーゼ様。ご遠慮なさらず召し上がってくださいませ」
「ありがとうございます」
現在サーシャの家でランチをごちそうになっているのだが、居た堪れない。
「サーシャ、やっぱり口に合わないのでは?」
「貴族の方だからな」
隣にサーシャのご両親がいらっしゃる。
申し訳なさそうな表情をするも、一番申し訳ないのは私だ。
「ご挨拶もままならないで、誠に申し訳ありま…」
グルルー!
「エリーゼ様。そんなにお腹がすいていたんですね」
泣いていい?
何で大事な場面で私は!
「エリーゼさん、諦めなさい」
「何でよ!今日の為に練習したのに…私は腹時計に負けたの?お嬢さんをお預かりしてますってちゃんと挨拶する予定だったのよ」
「エリーゼ、それは色々と違うぞ」
ロミオ様にまで呆れた表情をされてしまう。
「そうですわ。どんなに頑張って取り繕っても最後はバレますし。なら早い段階で晒しておいた方が良いですわ」
「シルビア様、事実であってもそこまでズバズバいうのはお可哀想ですわ。事実ですけど」
ジュリア様。
貴女は私に何か恨みがあるのでしょうか。
「はははっ、そうだぞ?無駄な努力だ」
「リオネルの言う通りだ。エリーゼ、無駄な事は止めろ」
「人間正直に生きた方が良いぞ」
くっ、この三人は論外だ。
私を貶しながらお腹を抱えて大笑いしている。
「サーシャ、ごめん」
「そんな、どうかお気になさらないでください。むしろ私は、そんなエリーゼ様の方が好きです」
なんて優しいの。
サーシャはヒロインを通り越して天使だ。
私のヒロインはサーシャだ。
「さぁ、冷めない内にどうぞ」
「ありがとう」
差し出されたのはシンプルなトマトスパゲティーだった。
「わぁー、すごくいい香り」
早速いただくことにした。
「エリーゼ様?」
「美味しい。懐かしいわ」
手づかみでスパゲティーを食べると、貴族組の彼等は驚いていた。
「どうしたんですか」
「手で食べるのか…」
「ええ」
クレセント領地の中には手で物を食べる習慣がある。
特にこのスパゲティーは歴史がある食べ物で、昔から手で食べることが多い。
その理由は今使っているフォークは肉を切るのに抑える為の物。
スパゲティーの麺を絡めるのに適していない。
私達が使うのも2つ又。
貴族が使うのはスプーンの先が3つ又になっているのだ。
「手で食べるのですか」
「確かに麺を絡めるのは難しいな」
シルビアとロミオ様だけでなく高位貴族はまずできなかもしれない。
私は田舎暮らしや他所の文化を学んでいたから可能だけど。
うん?
フォーク?
そうだ!
良い事を思いついた!
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