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間章
10.姉妹の形②~ジリアンside
しおりを挟む高位貴族が加護を受けないなんてことは、少ない。
ないわけでもないのだが、以前から私を良く思わない夫人達はここぞとばかり攻撃した。
勿論、私も反論せずに受け流したけど。
タイミングが悪い事に、次女のマリアンヌが加護を持っていた。
しかもかなり強い魔力を受け継いでいたのだ。
その下のハイネも同様だった。
優れた才能もなく、妹や弟のお荷物だと罵倒する声が聞こえた。
できるだけ陰口が聞こえないようにと努力したけど、人の口には戸が立てられない。
困り果てた私に旦那様はエリーゼを姉の所に行儀見習いに出してはどうだろうかと告げられた。
姉は体が弱く、中々子ができなかった。
子供好きな姉には酷だと思った私は、エリーゼを身ごもった時に後見人をお願いし、名付け親になって欲しいとお願いした。
マリアンヌを身ごもった時も姉にエリーゼを預けると姉は喜んでくれた。
エリーゼも姉を慕っているし、最近は病気の所為で寝たきりの状態が続いていると聞く。
いいかもしれない…と思ったけど。
少し心配だった。
マリアンヌは早熟であるがエリーゼが晩熟だったのだ。
ダンスや礼儀作法も人の何倍も時間がかかる。
旦那様は個性だと言って笑っていたけど、優秀ではないエリーゼを次第にマリアンヌは見下すようになった。
けれど生まれてばかりのハイネの面倒を見てくれるし、本を読んで聞かせていたりと面倒見は良かった。
サロンでは年配の学者や宮廷家庭教師だった方にも可愛がられている。
不安はあったので、領地内に懇意にしているカトレア修道院の院長先生にも行儀見習いをお願いをした。
すると、数日後に手紙が届いたのだ。
カトレア修道院の修道女やからは可愛がられ、院長先生は勉学に関してはとても優秀だとお褒めの言葉を頂き、姉からもエリーゼは取っても良い子だと言われた。
ただ、元気が良すぎるので乗馬や狩りの方が好きで母と衝突も多いとの事だった。
形に抑え込まずにのびのび育てた結果、色々と問題児に育ってけれど。
エリーゼを無理に社交界デビューをさせなくても跡継ぎはハイネがいる。
政略結婚が無理ならば良い方と結婚して独立させるのもいいかもしれないと思っていた。
その反対にマリアンヌは成長するにつれて、貴族令嬢として美しくなるも。
宮廷貴族の価値観で物を考えるようになってしまった。
その所為で教養も乏しい、気品の欠片もない貴族達と一緒にいることが増えてしまった。
他者を慈しみ争い事を避けて通る長女と、他者と衝突しても己を貫く妹。
二人は真逆に育ってしまった。
私は姉妹で支え合い、協力し合える事を望んだのに。
私はマリアンヌの将来が心配になった。
対してエリーゼはそこまで心配をしていなかった。
あの事件をきっかけにエリーゼの環境は変わり、ロミオ様という素敵な婚約者に恵まれ、学園でも素晴らしい友人ができたのだから。
実際挨拶をしても、どの方も礼儀がしっかりしている。
平民である二人も、真面目で優しそうな子達だった。
マリアンヌの友人は、なんというか典型的な貴族といった感じだった。
来年はマリアンヌは寄宿学校に通うと言うのに大丈夫なのかしら?
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